アニメ魔道祖師
<前塵編第三話~第五話>
用語・補足説明
【魔道祖師】
前塵編<第三話>出逢い
玄正18年 <姑蘇 雲深不知処>
藍氏の仙府(せんふ)雲深不知処は、姑蘇の町外れにある山奥に位置している。
仙府・・各仙門の拠点
金子軒(ジン・ズーシュエン)
蘭陵金氏宗主金光善(ジン・グアンシャン)の長男。江澄姉の婚約者。
莫玄羽の異母兄。
聶懐桑(ニエ・ホワイサン) 清河聶氏(せいがニエし)
清河聶氏宗主聶明玦(ニエ・ミンジュエ)の弟。兄は弟の教育に対して非常に厳しい。
姑蘇に来るのは3回目。
各世家の公子たちは雲深不知処へ学びに来る。
藍啓仁(ランチーレン)
藍曦臣と藍忘機の叔父。藍宗主青蘅君の弟。
世家の間で、「古臭い」「頑固」「多くの優秀な仙師を育ててきた名師」という三つの特徴で知られていた。
学問を教える技術で名を馳せていたため、各名家はこぞって15~16歳の公子たちを雲深不知処世へ送り込み学ばせた。
蘭室(らんしつ)には背筋をすっと伸ばして正座している白衣の少年がいた。長い髪に、額には抹額を結んでいる。まるで氷の冷気を纏っているかのように、彼は冷たい目で少年たちを見渡した。
皆は口を固く閉じ、各々好きな席に座る。だが、藍忘儀の周りの文机だけは誰も座らなかった。魏無羨は隣の藍忘儀の横顔を見て驚愕する。
魏無羨「(こんなつまらない内容だっていうのに、そこまで真面目に聞けるなんて!)」
藍啓仁「『妖魔鬼怪』とは?」
魏無羨「妖は人間以外の生き者が化けたもの
魔は生者が化けたもの
鬼は死者が化けたもの
怪は人間以外の死者が化けたもの」
前塵編<第四話>不穏な湖
藍啓仁は清河聶氏にて行われる清談会参加のため不在。
清談会(せいだんかい)・・各世家の代表が集まって開催する会合。
聶懐桑「魏兄、本当についてますね!あのおっさん、あと数日は帰ってこないから、授業もなし!」
魏無羨はお仕置きされるのを防ぐため、一晩中自分の剣を抱えて眠っていたのだ。
藍曦臣と藍忘機 藍氏双璧
藍家は顔が整っていないと入門できないのではないかと言われるほどの美男子揃い。
魏無羨たちは藍忘儀と藍曦臣を見かけ、声をかける。
藍忘儀は眉間にしわを寄せて魏無羨を憎々しげな表情で睨むと、視線を逸らす。
藍曦臣は笑顔で挨拶する。
藍曦臣「水の祟りを払うため、藍忘儀を呼びに来たんだ。」
藍忘儀「兄上、これ以上話す必要はありません。出発しましょう。」
魏無羨「水鬼?それなら任せてよ。俺たちも連れて行ってもらえませんか?」
藍忘儀「規則に反する」
魏無羨「沢蕪君、俺たちはきっとお役に立ちます!」
藍忘儀「結構だ。姑蘇藍氏も・・」
藍曦臣「いいだろう。助かるよ。」
藍忘儀「なぜ彼らまで?遊びではないのです」
藍曦臣「忘機が江宗主の一番弟子に来て欲しそうな顔をしていたから。」
藍忘儀「・・ありえません」
彩衣鎮は水路が非常に多く、碧霊湖へと続く。
ここ数十年の間、一度も水鬼が祟りを起こすような事件はなかったが、ここ数か月で急に事件が頻繁に起こるようになった。水鬼には縄張り意識があり、溺死した水域から離れることはないはずだが、町の人にとっては見知らぬ顔ばかりだった。
水鬼はずる賢く立ち回るため、簡単には見つからない。
魏無羨「奴らの方位を示してくれる羅針盤のようなものがあればいいいのに・・」
「その剣の名は?」
魏無羨の剣捌きは目にも留まらないほどで、藍忘儀は霊力の宿る高級仙剣に違いないと問いかける。
魏無羨「随便(ズイベン)」
随便・・魏無羨の剣。随意。なんでもいい、ご自由にという意味。
特に名前には意味がなく、江楓民(ジャン・フォンミエン)から剣を授かった時に名前を考えたがどれも気に入らなかったため、江楓民に名前をつけてもらおうと「随便!」っと言ったら、そのままその二文字が刻まれて鋳造されてきた。
江楓民「お前がそう言ったからには、その剣は随便だ。」
【剣を飛ばす】
力がある者であれば、相手の正体がわからない状況でも剣を水中に飛ばして呼び戻すことが出来る。藍家の門弟、蘇渉(スーショー)も真似して剣を飛ばしたが、剣訣しても剣は戻らなかった。彼は青ざめ、まるで屈辱を受けたかのようにをちらりと藍忘機見るが、藍忘機の方は彼に一瞥もくれずにただ水中を見据えていた。仙剣を呑み込むなんて、きっとまだ別の何かが潜んでいるはずだ。
剣訣(けんけつ)・・剣を持たない方の手で印を結ぶこと。
各自が御剣する中、剣を失くした蘇渉が碧霊湖に呑み込まれそうな船にしがみついているところを魏無羨が掴む。魏無羨の剣は軽くて素早く操れるところが長所だが、力の面では不足している。
江澄に手が届かず、捕らわれて落下する魏無羨と蘇渉。
藍忘機はたった一人と一本の剣で二人を引き上げた。すべてを呑み込もうとしている湖からの引力にも対抗して。
江澄「(俺の三毒(さんどく)ではあいつみたいに二人も助けて上昇することは出来なかっただろう。藍忘機は俺と年もそんなに変わらないのに・・)」
三毒・・江澄の剣
魏無羨「藍湛、助けるならなぜ襟をつかむんだ」
藍忘機「他人には触れない」
水行淵(すいこうえん)・・水域全体が一つの化け物に変化してしまったもの。
ここの水域で水行淵が生まれるとは考えにくいため、別の水域から追い出されたということになる。温氏の仙師たちが退治せず下流(故蘇)へと逃がしている。
「岐山温氏!」
『太陽とともに生き、太陽の光より輝く』の意で太陽を家紋にしている。温氏の仙府は夜が訪れないと言われ、不夜天城と命名された。門弟の数から勢力、土地、仙器まで、そのすべてが他の世家ではとても足元にも及ばず、対抗できない。
温氏の仕業であれば、いくら訴えても意味がない。彼らはその事実を認めはしないし、なんの償いもしてくれないだろう。
前塵編<第五話>邪の道
天子酒を持って走る魏無羨。手加減せず全力でしつこくかかってくる藍忘機から逃れられない魏無羨は、逃げるのをやめて藍忘機に抱きつき、塀の外に飛び出す。魏無羨「 藍湛は抵抗したが抜け出せず、板みたいに体を硬くしてた。」
魏無羨「お前も外に出たな。掟を破った。俺を罰したいなら自分のことも罰する羽目になるんだぞ。」
【懲罰】
魏無羨は翌朝故蘇藍氏の祠堂(しどう)にて檀木(だんぼく)の戒尺(かいしゃく)で藍忘機と共に懲罰を受ける。藍忘機は誰に押さえつけられるでもなく、終始まっすぐに腰を伸ばし、姿勢正しく跪いているのに対し、魏無羨は大声を上げて泣き喚く。二人は百回以上も叩かれた。罰を受けた後、藍忘機は無言ですっと立ち上がり、祠堂内にいる門弟たちに頭を下げ、出て行った。
祠堂・・祖先の霊を祭る所。また弟子を懲罰する場所。
檀木・・白檀の木で、硬くて比重が大きい。
戒尺・・読経の時、拍子をとるのに鳴らされる道具。
【藍啓仁、清談会から戻る】
問霊(もんれい)・・藍氏に伝わる魂と対話する仙術。琴の音を通して質問をし、それに対する返答も琴の音で返ってくる。亡者の身元確認に多く使われる。
藍曦臣「魏嬰の若様は辛そうだ。数日は起き上がれないでしょう。」
江澄「なんだって?藍忘機といえどやりすぎだ!」
魏無羨につつかれて、江澄は自分が藍曦臣の弟に対して不満じみたことを言ってしまったことに気付く。藍曦臣は何も気にしないという顔で笑った。
【雲深不知処の冷泉】
心を落ち着かせて清め、邪気を払ってくれるという。修行にも使える上に、淤血(おけつ)(血の流れの滞りや症状や疾病など)を解消して傷を癒す効能もある。
藍忘機「なぜここに」
魏無羨「沢無君が入れてくれた!」
冷泉は肌を刺すような冷たさで、藍家以外の者が短時間で慣れるのは難しい。
魏無羨「藍湛、お前には本当に感服したよ。まさか本当に手加減なしで自分も懲罰を受けるなんてさ。俺、お前みたいに真面目で有言実行な奴、初めて会ったよ。俺には絶対無理だ。お前はすごいな。」
藍忘機は無視を決め込んでいる。
魏無羨「俺はお前を褒めてるんだ。それからお前と仲良くなりたいんだよ。」
座学に使うために持ち帰った屍が逃げ出す。
魏無羨「武器(仙器)がないと、いつまでたってもらちが明かない」
怨念が体内に入ってくると陽の気が消え、屍に襲われなくなる。
江澄「そのやり方は邪道だ!知られたら仙門百家に殺されるぞ!」
魏無羨「・・二度としない。あんな危険なもの、利用するもんか。永遠にな」
エンディングのあと