アニメ魔道祖師
<羨雲編第四話~第五話>
用語・補足説明
アニメ『魔道祖師』のエピソードごとに
【魔道祖師】
羨雲編<第四話>忘れ形見
迷いの陣・・方向感覚を惑わす結界。人為的なもの。
仙子は藍忘儀が怖いので、魏無羨の服の裾を咥えて彼を引っ張る。 仙子が魏無羨を引きずり、魏無羨は藍忘儀を引きずって石堂の後ろ側に辿り着く。 犬も中に入りたいようだが、何かの力に阻まれて、石堂の防御を破れないようだ。
金凌はどうやら石堂を壊して中へ入ったようだ。
壁の中から見つかった金凌の足には、悪詛痕(あくそこん)が広がっている。もし鬼腕に遭遇していたならば、莫家の時のように血肉と精気が全て吸い取られていただろう。
悪詛痕・・邪祟が獲物の体につける印。何かとてつもなく邪気に満ちたものに触れたことを意味する。邪祟は印を追って必ず獲物を探し出し、命を奪う可能性もある。魏無羨は金凌から自分の体に悪詛痕をうつす。
過去 <琅琊戦場>
射日の征戦中盤に、雲夢江氏は琅琊一体に赴き、蘭陵金氏に加勢したことがあった。人手不足のため、江厭離も戦場に出て食事作りを手伝った。彼女は弟二人に特別に汁物を作ってやっていた。そしてその汁物を、当時共に琅琊にいた金子軒にも、見つからないようにこっそり届けていた。金子軒はその汁物を非常に気に入って感謝していたが、彼女は名乗り出ることはしなかった。
ところがこれを知ったある蘭陵金氏の女弟子が、さも自分が汁物を届けたかのようなふるまいをしたことで、金子軒はすっかり彼女が作った汁物なのだと思い込んだ。
ある時江厭離がいつものように汁物をこっそり届けると、金子軒に見つかってしまう。金子軒の問い詰めに江厭離は正直に事実を告げたが、金子軒は信じることなく、江厭離を咎めたのだった。
泣き出してしまう江厭離。そこへ魏無羨がやって来て事の顛末を知り、例の女性仙師を引きずり出させて真相を明らかにさせた。金子軒は呆然と固まり、青ざめたのだった。
過去 射日の征戦後 <百鳳山狩場>
多くの仙師たちが参加し、常に邪祟や妖術が絶えない場所を一か所定め、決まった時間内に各自が得意とするやり方で獲物を争奪する巻狩(まきがり)という盛事が開催されていた。
蘭陵金氏からの熱心な誘いを断れずに、江厭離もこの場に来ていた。金夫人が金子軒と江厭離が二人きりになるよう仕向けたのだ。金子軒の母親、金夫人はまだ虞夫人との約束をあきらめてはいなかった。
とても気まずい雰囲気の中、金子軒と江厭離が前後になって歩いてる。たまたま、近くにいた魏無羨が二人の姿を見つけ、たまたま一緒にいた藍忘儀を引っ張って茂みに隠れ、様子をうかがっていた。金子軒の尊大さと自惚れに満ちた話し方を不愉快に思っていた魏無羨は、傍らで無表情にじっと金子軒を見つめている藍忘儀を不思議に思い、その視線の先を辿ってみる。
魏無羨「(金子軒の奴、いつの間にか右手と右足が一緒に出てるじゃないか!?)」
金子軒は身勝手に話を進めていた。
金子軒「うちの狩場ならもっと珍しい獲物が見られるぞ。来月なら俺は時間があるから、君を狩場に連れて行けるよ。」
江厭離「金公子、ご厚意に感謝します。ですがどうぞお構いなく」
金子軒「なぜだ?君は巻狩を見るのが好きじゃないのか?」
江厭離は小さくうなずく。
金子軒「だったら、今回はなんで来たんだ?」
江厭離は黙り込む。
金子軒「君は巻狩を見たくないだけか、それとも俺と一緒にいるのが好きじゃないということか?」
江厭離「いいえ・・・」
魏無羨にはわかっている。彼女は金子軒が金夫人に強く言われて誘ってくれているだけで、彼の本心ではない事を気にかけ、無理をさせたくないのだ。しかし金子軒は知る由もなく、人生で初めてここまで恥をかかされたことで頭がいっぱいだ。
離れていく二人。変異した量人蛇が江厭離に襲い掛かり、隠れていた魏無羨と藍忘儀が飛び出し退治する。
そこへあと少しというところで屍を獲り損なった金子勲がやってくる。魏無羨の笛の音で、ほぼ全ての屍と怨霊(獲物の三分の一にあたる)が自ら雲夢江氏の陣営に捕まりに行ったのだ。残っている獲物は妖獣と怪物類のみだが、さらに魏無羨が量人蛇まで仕留めた事に激怒している。
騒ぎに周りにいた仙師たちや金(じん)夫人一行まで御剣して集まって来た。
金夫人 金光善の妻、金子軒の母親
江厭離「巻狩はただ実力のみを試される場ではないでしょうか?彼がその三分の一を独り占めしなくても、あるいは巻狩に参加すらしなかったとしても、獲れない方には結局獲れないのではないでしょうか?阿羨が使った方法は確かに他の方とは違います。ですが彼も修練して得た実力です。他の方たちが三分の一の獲物と無縁になったからと言って、それで彼を邪道だというのは少々理不尽なのではありませんか?」
金光瑤はこの件を受けて巻狩場の範囲拡大の手配に着手していたが、「おそらく獲物は手配できそうにありません・・」と藍曦臣にもらす。
金光瑤「実は魏公子が三分の一の獲物を独り占めしただけでなく、妖獣の類は明玦兄上が一人でほとんど一掃してしまったのです・・・」
藍曦臣「さすが兄上だ」と思わず笑った。
ちらほらとしか人がいなくなったところに、江澄がやって来る。
姚宗主「江宗主、お宅の魏無羨は大層な人物ですね」
江澄「それはどういう意味ですか?」
姚宗主「恐れ多くて言えません。」
江澄の耳にこそこそとした話し声も聞こえてくる。
「ほぼ全ての屍と怨霊が江氏の陣営に呼び寄せられるなんてさ。きっとたくさんの仙師が江家の傘下に入りたいと思っただろうな。」
「は?江家の傘下だって?結局魏無羨が目当てなだけだろう?射日の征戦だって魏無羨一人の力のおかげで雲夢江氏がその名を轟かせただけじゃないか」
この後の金子軒と江厭離は・・エンディングのあとに続く。
羨雲編<第五話>不退転の覚悟
現在 【魏無羨、江澄に捕まる】
魏無羨「温寧はとっくにただの死人だ。俺も一度は死んだ。これ以上何を望む?」
江澄「何を、だと?奴がたとえ一万回死んだとしても、俺のこの憎しみは消えない!」
江澄は犬を怖がる姿に魏無羨だと確信した。しかしそれは証拠にはならない。献舎は奪舎と違い痕跡は何一つ残らない。魏無羨が犬を怖がる事実を江澄は誰にも話したことがない。
過去 幼少期 <雲夢>
魏無羨が夷陵で拾われ、蓮花塢に連れて来られて間もない日、江澄が数匹の子犬たちと走り回っているのを見て、幼い魏無羨はわーわー泣き始め、江楓眠に縋りついたまま降りようとしなかった。次の日江澄が飼っていた犬たちは他家へともらわれていった。
江澄の記憶の中では、江楓眠に抱き上げられた回数は5回もない。
怒った江澄の部屋から追い出された魏無羨は蓮花塢から逃げ出し、木の上へ。江厭離に声をかけられても隠れて黙っていたが、「履物は大きすぎた?」という問いかけに思わず答えてしまう。実際は大きかったが、江楓眠が彼に買ってくれた初めての履物だったので、気が引けて大きいとは言えなかった。魏無羨は犬が怖いからと説得に応じなかったが、手が痺れて木から落ちて足を痛めてしまう。
江厭離「阿澄はあなたが帰ってこないから、心配して急いで私を起こしに来たのよ。」
江澄は江厭離に「誰かを呼んで一緒に探しに来て」と言われたけど、居ても立ってもいられず、探しに出た江厭離を走って追いかけたものの、提灯を忘れたせいで途中で転び、穴の中に落ちてしまっていた。彼も頭を怪我していた。
江澄「ごめんなさい」
江澄は彼が魏無羨を追い出したことが江楓眠の耳に入ったら、父はきっとさらに自分を好きでなくなるはずだ、と心配していた。
江厭離は小声で医師を呼び起こし、二人の傷を手当てしてもらうと、「すみません」「ありがとうございます」を何度も繰り返していた。
二人がようやく打ち解けたのを見た江厭離は嬉しくなり、二人のために蓮根と骨つき肉の汁物を温めてあげた。魏無羨は初めて口にしたその汁物がとても美味しくて、その時の香りは彼の心に残ったまま、今もずっと消えずにある。
江厭離「阿羨、あなたの顔立ちは生まれつき朗らかな笑い顔なのよ。だからどんなにつらくて悲しいことがあっても落ち込まず、いつも楽しくいられるの。まるで思慮も分別もないような愚か者に聞こえちゃうけど、それはあなたのいいところよ。」
申(さる)の刻・・15時から17時
過去 15年前射日の征戦後 <雲夢>
温情「魏公子、助けてください!!」
温情は岐山から一刻も休まず、一睡もせず、自分の足だけで雲夢まで駆けつけてきた。
そこにはかつての高慢さはない。
温情「私、わかっていたの、離れるべきじゃなかったのよ・・でも奴らは強引に私を他の地域に追いやって、戻った時には皆がいなくなってて!あの子を一人にしたら駄目だってわかっていたのに!」とむせび泣く。
射日の征戦後、温家の残党は一人残らず岐山の一角に追い立てられ、狭い場所で辛うじて生き長らえていた。
その一帯で夜狩をしていた金子勲は、偶然出くわした温家門弟たちに召陰旗を背負わせて、餌として使おうとした。しかし怯えきっていて役に立たず、つかえながら話す温寧と口論になった。金子勲はその者たちを思い切り殴りつけ、強引に『窮奇道』へ連行したという。魏無羨は温情と共に窮奇道へと向かう。
過去 <窮奇道>
窮奇道はある山の谷間を通っている古道。言い伝えでは、岐山温氏の開祖温卯がこの場所で八十一日の激戦の末窮奇獣を切り殺したという。
射日の征戦後は蘭陵金氏の手中に収まっていた。切り立った崖には温卯の生前の足跡が彫られていたため、その壁画を削って新しい絵を掘るという再建工事に着手している。そこで温家の捕虜たちが苦役を強いられていたのだった。
金子勲はかつて岐山温氏の家僕たちが使っていたものと同じ焼きごてを手に持っていた。焼き印の形は太陽紋から牡丹紋に変わっていた。
温寧は既に死んでいた。
魏無羨「誰がこいつを殺した?」
監督責任者「そいつが作業中に不注意で崖から転がり落ちて死んだんですよ。」
魏無羨「一人の人間がどうやって死んだかくらい、俺にわからないとでも思っているのか?」
魏無羨「温寧、誰がお前をこんなふうにした?そいつらにお前と同じ結末を迎えさせてやれ」
【温寧の凶暴性の理由】
魏無羨「温寧は生前、比較的気が弱かった。あらゆる感情を心の底に隠して、恨み、怒り、恐怖、焦り、苦痛なんかをあまりにも多く溜め込んでしまってたんだ。そのせいで死後、全てが爆発して表に出てきて、その威力は想像を絶するほどだった。」
過去 <夷陵 乱葬崗>
江澄は門弟を引き連れて夷陵へ向かう。
魏無羨は温氏を連れて乱葬崗へ入ると、数百体もの屍を召喚して麓を巡回させ、侵入者を阻んでいた。しかしそれらは江澄に対しては無関心で、門弟に対しては警告の咆哮(ほうこう)(吠える)を発した。江澄は一人で乱葬崗に登る。
温苑(ウェンユエン) 愛称 阿苑(アーユエン)
温情・温寧の従兄の子
を畑に植えている魏無羨
江氏の家訓・・心の正義を守れ、『成せぬを試みてこそ、成せる』
魏無羨「どんなことがあっても彼らを見捨てられない。」
江澄「お前が頑としてこいつらを守ろうとすれば、俺がお前を守れない」
魏無羨「守らなくていい。捨ててくれ」
魏無羨「いっそのこと今のうちに繋がりを絶った方がいい。雲夢江氏に災いをもたらさないためにも」
三日後、雲夢江氏宗主江澄は魏無羨と決闘し、世間を驚かせる。交渉は決裂、魏無羨は凶屍温寧を操って江澄の片腕を折り、江澄は剣で魏無羨の腹を刺し貫いた。双方重症を負い、完全に袂(たもと)を分かった。
江澄「魏無羨は一門を離反し、多世家に公然と敵対したため、雲夢江氏はこの者を追放した。今後この者が何をしようと、雲夢江氏は一切関知しない!」と世間に公言した。
魏無羨は決闘の直後、刺された腹部を意にも介さず、自ら腸を腹の中に押し戻し、ジャガイモを大きな袋で何袋も買って乱葬崗へ帰る。温情は彼の傷に包帯を巻き、こっぴどく叱った。なぜなら買ってくるように頼んだのはジャガイモではなく大根の種だったからだ。
温情「大根は育てやすく簡単には枯れないし、ジャガイモは手間がかかるから!」
魏無羨「大根は美味しくない!!」