アニメ魔道祖師
<羨雲編第七話~第八話>
用語・補足説明
【魔道祖師】
羨雲編<第七話>不夜天の悲劇
目を見開くと、目に入ったのは伏魔洞の漆黒の丸天井だった。
温寧の黒い瞳は白目の中に戻っていて、既に狂乱状態を脱して理性を取り戻していた。
魏無羨「(この数年間、俺はなんのために自分をこの乱葬崗に閉じ込めてたんだ?なんでこんな目に遭わなければならないんだ?俺はなんでこの道を選んだんだ?なんで自分をこんなふうにしてしまったんだ?他の奴らは俺をどう思ってる?俺は一体何を手に入れた?俺がおかしくなったのか?俺が?俺が!)」
温寧「・・・申し訳・・・ありません」
彼がつかえながら何度も謝るのを聞き、魏無羨は自分をひどく滑稽だと感じた。
何もかも温寧のせいではない。狂乱状態の温寧は、ただの武器でしかなかった。
この武器を作り上げたのは他でもない、自分自身であり、その武器は彼の命令に忠実に従う。この武器をしっかりと制御出来なかったのは自分だ。己の能力を過信しすぎていたのも自分だ。
温寧は武器だが、そもそも彼は自ら武器になりたいと願っただろうか?
頭がぼうっとし、警戒を怠っていた魏無羨は温情に針を刺され、全身が痺れ始める。
温情「誰が千瘡百孔の呪いをかけたかなんて重要じゃないの。あんたを待ち伏せした奴らはあんたの体に痕跡があるかどうかなんて聞いてきた?どのみち彼らにとって犯人はあんたしかいない。証拠なんてまったくいらないし、どうしたって言い逃れは出来ないのよ。」
温情「ごめん。それと・・ありがとう。」
それから三日後動けるようになると、魏無羨は伏魔洞を飛び出した。今行ったところで、見られるとしても温情の遺体や温寧の遺骨だけだろう。せめてそれを取り戻さなければと決意を固める。
彼はどこに行けばいいのか考えを巡らせ、金鱗台へ潜入する。以外にも厳重な警備は敷かれていなくて、非常に静かだった。
赤ん坊の声に彼の足が凍り付く。その声は大きな殿堂の中から響いてきた。
魏無羨は物音立てずに密かに中を覗き込む。そこには真っ黒な棺が一基置かれ、白い服を身に纏った女性が二人、跪いて座っていた。
江厭離と金夫人だった。金夫人がこちらに出てきた時、うっかり気付かれてしまった魏無羨は、動揺してその場から逃げ出した。江厭離の顔を見る勇気はなかった。
彷徨う魏無羨は城壁に貼られた巨大な布告を目にし、不夜天城へと向かう。
魏無羨「金子勲が俺を殺したければなんら憚ることなく手を下せるが、俺は自分を守るためであっても誰一人として傷つけないように配慮しなければならないってことか?要するにお前らは俺を攻撃していいけど、俺は反撃しちゃダメ、そういう事だろう?」
【江厭離の最後】
彼女はいつからこの決起大会に来ていたんだ⁉
江厭離が魏無羨を見つけたちょうどその時、彼女の後ろで一体の凶屍がふらつきながら立ち上がると、手に握った錆びた長剣を引きずって江厭離に向かっていく。
魏無羨「失せろ!失せろって言ってるだろう!姉さんに近づくな!!」
江澄「魏無羨、あれをどうにかしろ!」
魏無羨の心が混乱すればするほど、凶屍を制御する能力は低くなる。凶屍は彼の命令を無視して江厭離に向かって長剣を振り下ろした。
江厭離「阿羨、なんであんなに早く走り去ってしまったの?私あなたを一目見ることも、一言話すことも間に合わなくて・・」
魏無羨はやっとのことで落ち着きを取り戻し、江厭離の言う通り凶屍を止めた。
突然爆発的なまでの大きな力で魏無羨を押した江厭離は、魏無羨を狙った少年の長剣に貫かれてしまった。
魏無羨は悲痛の叫び声と共に陰虎符を取り出して高く掲げた。
現在 【意識を取り戻す魏無羨】
魏無羨「藍湛、お前もしかして、大梵山で会った時から俺に気づいていたのか?」
藍忘儀「うん」
魏無羨「なんでわかった?」
藍忘儀「君が教えてくれた」
【陰虎符が怨念を吸い過ぎていた可能性】
不夜天の幻想で見た召陰陣。
また陰虎符が怨念を吸い過ぎないよう、魏無羨は封印していたが、その封印の陣が少し破られていた可能性があると藍忘儀は言う。
乱葬崗の封印の陣に(魏無羨の血の跡)
封印陣の破り方を知っている者は
藍忘儀
温情と匿っていた温氏(長老たち)
江澄
加えて不夜天と窮奇道には召陰陣(しょういんじん)が敷かれていた可能性がある。
それにより陰虎符が怨念を多く吸っていて、魏無羨が制御出来なくなってもおかしくはない。となれば、これは何者かの仕掛けた罠だ。
エンディングのあと
阿羨は何歳?
羨雲編<第八話>更なる謎
「石堂には我が家の刀を祀っている」
清河聶氏は他家と違って刀を修練する。
聶家の歴代宗主たちの刀はどれも怨念と殺気が強く、ほとんどの宗主が自我をなくし、全身の血管が破裂して急死している。聶懐桑の兄、聶明玦もそうだった。
刀は主人が死ぬと制御できる者がいなくなり、凶器と化す。刀は人ではなく悪鬼凶霊、妖魔鬼怪たちを欲しがり、斬れるものがなくなると聶家に祟りを起こす。そのため六代目宗主は刀霊が邪祟と戦いたいなら絶え間なく邪祟と戦わせておけばいいと考えた。
聶家は苦労して、時には大金をはたいて死体を各地から集め、一緒に埋葬することで刀霊は死体の屍変を抑え、死体は刀霊の狂気を緩和させ、互いに抑制し合って均衡を保っている。
「だから聶宗主は刀を持たないのか」
聶懐桑は刀を持てば彼の兄や先祖代々の宗主たちと同様、乱心してひどい死にざまに陥るのだから、いっそ能無しのままでいい、と決断したのだろう。だが、先祖たちの開拓してきた道や功績を否定することは難しい。清河聶氏の刀霊は、その凶暴さと殺傷力の高さが取り柄であり、百家の中でも優れている唯一の理由なのだ。聶家を裏切って別の修練を始めることなど考えられないのだから、もうただの役立たずになるしかない。
しかし実力がなくとも彼は全力で一族の重荷を背負い、よろよろとでも進むしかないのだ。
「10年前に盗賊が盗みに入り、跡形もなく消えた」
盗賊が中に入ると死体が凶暴化して襲いかかってきたため、激戦の末彼らは死体をバラバラにしてしまった。盗賊が立ち去ればまた刀霊が抑え込むので大丈夫だったはずだが、バラバラにしてしまったことで死体が足りない状態になってしまった。墓の中の死体は、刀霊との均衡を保てるぴったりの数にしてあった。そのため刀霊は盗賊を閉じ込めて、死体の数を補った。
それを踏まえて、その後石堂では死体を壁の中に埋め込むようになった。
【金の若様が侵入した】
聶懐桑「あんな分厚い壁に穴を開けるなんて。金の若様はよほどたくさんの法器を持っていたのでしょうね。金の若様が穴を開けた時に、知らずに壁の中にある死体まで壊してしまったんです。だから入って間もなくその死体の代わりに石室の壁の中に吸い込まれる羽目になったわけです・・。
「鬼腕に悪詛痕が反応した」
逃げ出していた鬼腕が襲ってくる。悪詛痕は元は金凌につけられたもの。
魏無羨「つまり石堂の中に鬼腕の体の別の部位があるかもしれないってことか?」
悪詛痕が脚に広がっていたことから、その部位が脚である可能性が高い。藍忘儀が剣で軽く死体の服を斬る。すると両脚の太ももに縫い付けた痕のある死体が見つかった。脚は鬼腕のものだ。この死体を一体誰がここに交ぜこんだのかは、聶宗主にも他の誰にもきっとわからないだろう。
縫合されていた両脚を死体から分離させ、新しい封悪乾坤袋に入れる。
丹薬(たんやく)・・姑蘇藍氏の高級丹薬。
11年前に懐蒼山で怨念を鎮めるため亡骸が切断され、翌年石堂が盗賊に襲われた。
盗賊も清河聶氏の師弟も、体が溶け石堂の外に血痕だけが残っていたことから、共に黒装束の刺客に遭遇したためと考えられる。
黒装束は金凌が埋められていた辺りを掘り起こしていた。
そして黒装束の刺客には千瘡百孔の痕がある者がいた。
魏無羨「あの覆面男、なんで藍家の剣術をあんなに熟知してるんだ?」
魏無羨「鬼腕を莫家荘に放り込んで姑蘇藍氏の弟子を襲わせた奴と、両脚をわざわざ別の死体に縫い付けて壁の中に埋めた奴は同じだと思うか?」
藍忘儀「別の者だ」
魏無羨「俺も同感だな。手間暇かけて脚を縫い付けて壁の中に隠したからには、死体を人の目に触れさせたくなかったんだろう。それなのにわざわざ左腕を放り込んで暴れさせるはずがない。誰かに見つけて欲しくて表に出してきたってことは、おそらく別の連中だ。」
鬼腕が逃げ出した頃・・
【清河領内】
駆魂の印を除いて招魂し、鬼腕が新たに指示した西の方角へ。
藍忘儀「お前は邪鬼に呑み込まれて死んだのだと皆は思っているが、乱葬崗を調べた限り真相は違う」
魏無羨「俺は死んだ。死に方なんてどうだっていいだろ」
エンディングのあと