アニメ魔道祖師
<完結編第四話~第五話>
用語・補足説明
アニメ『魔道祖師』のエピソードごとに
【魔道祖師】
完結編<第四話>酒に酔いて
清風明月(せいふうめいげつ)清らかな風と澄んだ月ような高潔さを持つ暁星塵
傲雪凌霜(ごうせつりょうそう)厳しい冬の寒さにも屈しない強靭な精神を持つ宋子琛
藍忘儀「いつか再会できるだろう。山や川が出会うように」
山から流れ去りゆく川の水は、いずれ蒸発して雲となり、雨となって山へと降り注ぎ、川となって再び山を流れる。
【義城で見つけた屍】
屍は鬼腕の右腕と胴体であった。頭と脚は常慈安のものと推測される。鬼腕の切断と懐蒼山での人体実験は薛洋によるもの。刺客は薛洋だけを連れて行き、屍には見向きもしなかった。薛洋が自らの身を守るために、鬼腕の右腕と胴体の在りかは明かしていなかったのだろう。
【藍忘儀に花を渡す魏無羨】
容姿端麗な男女に出会った時、花を渡す(投げる)ことで愛慕(あいぼ)の意思を表すことは古くからの習わしである。
<過去 百鳳山での巻狩にて>
姑蘇藍氏の双璧が入場すると、観猟台から花の雨が降り注いだ。慣れきっている藍氏の公子たちは動じることなく会釈を返すだけでそのまま前に進み続ける。ふいに藍忘儀が背後から投げつけられた一輪の花を受け止める。
藍忘儀「魏嬰」
魏無羨「なに?含光君、呼んだ?何か用?」
藍忘儀「君か」さきほどの花を持ち上げて見せる。
魏無羨「俺じゃないよ」
江澄「お前まで一緒になって投げてどうするんだ?」
魏無羨「あいつは綺麗だし、別に俺が投げたっていいだろう?」
<過去 巻狩の2か月後、雲夢にて>
藍忘儀が歩いていると少女が数人すれ違いざまに花を投げつけてくる。耳際の髪にも花が引っかけられた。一抱えにもなった花に無表情のまま立ち尽くす藍忘儀。
魏無羨「含光君、奇遇だな!」
藍忘儀「君か」
魏無羨「俺だよ!こんなくだらないことをやりそうな奴なんて俺しかいないだろ」
魏無羨は楼閣で先ほど花を投げてきた少女たちに囲まれて酒を飲んでいた。
魏無羨「一杯どうだ?」
藍忘儀は「君の花だ」と卓の上に置く。
魏無羨「遠慮するな、お前に贈ったんだから」
藍忘儀「なぜ花を?」
魏無羨「別に。ただお前がどう反応するのかなって」
藍忘儀「くだらない」
魏無羨「せっかく雲夢に来たのに、ここの美味い酒を味わわないのか?やっぱり天子酒には敵わないけどな。いつかまた姑蘇に行く機会があったら、絶対に八個でも十個でも買ってどこかに隠して、満足するまで目いっぱい飲んでやるんだ。」
藍忘儀「・・人ならざるモノたちと、一日中一緒にいるべきではない」
魏無羨のまわりではしゃいでいた少女たちの顔から笑みが消える。
藍忘儀「魏嬰、やはり私と一緒に姑蘇へ帰ろう」
魏無羨「・・その言葉を聞くのは久しぶりだな。射日の征戦も終わったし、とっくに諦めたんだと思ってた」
【一直線上に置かれていた猫の死骸の例外】
<雲夢 雲萍(うんへい)城 観音廟(かんのんびょう)>
町中に廟があるのは珍しい。元は妓楼(ぎろう)(遊郭)だったらしい。ある大物が観音廟を建てたという。
魏無羨「含光君、酔ってるだろう?」
藍忘儀「酔ってない」
酔っている人間は、決して自分からは認めないものだ。だが温寧を突き飛ばした一撃は、音の割に威力はあまりない。履物は左右逆。魏無羨が立てた2本の指を左右の手で真剣に握りしめる、藍忘儀の手から避塵が哀れにも地面に落ちてしまった。魏無羨は絶句する。
大概の人は酔ってから寝るものなのに、藍忘儀は逆に寝てから酔うらしい。しかも彼は酔っていても普段となんら変わらないので、それを判断するのがとても難しい。彼のように表情も全く変わらないまま、こんな奇妙な行動をする者は初めて見た。
藍忘儀「冥銭は亡き者が使う。お前は違う。」
観音廟には怨念を抑える陣が敷かれていた。
どうやら猫の死体で導いた者はこれを知っていて、陣の中心を突き止めたかったらしい。
魏無羨「陣を敷いたのも達人。一日二日で推測できるものじゃない」
完結編<第五話>故人
連結術をかけた風邪盤でメモを持ち去りし者たちを追うが、既に立ち去っていた。
講談(こうだん)・・主に歴史ものなどの物語を語る大衆演芸。
部屋に戻ると、死体の四肢が集まったことで引きつけ合う力が大幅に強まっていた鬼腕は、束縛する封悪乾坤袋を破って合体し、一つの死体、首無しの凶屍となっていた。
首無しのため、見ることも聞くこともできないが、感覚を頼りに狙いを金凌に定める。そして莫玄羽に。
朔月(サクゲツ)・・藍曦臣の剣
首無し凶屍は飛ばされてきた避塵の柄を容易く手で捕らえると、そのまま握ってしまう。『叩き斬る』動きから刀使いであったことがわかる。
首無し凶屍は藍曦臣の裂氷の音に振り返り、その音を奏でる人物を確認したがっているようだ。
裂氷(れっぴょう)・・藍曦臣の簫(ふえ)。縦笛の一種。
首無し凶屍は赤鋒尊だ。
彼の死体をバラバラにし、他の死体と接合したのは薛洋だろう。
刀霊の影響で亡くなった筈の彼の死体を、何故切断する必要があったのか。怨念を散らす理由は?
魏無羨「赤鋒尊の魂を砕いた者は誰か」
清河聶氏の祭刀堂の秘密を知っている者で、さらに姑蘇藍氏と非常に親しい可能性のある者、しかも赤鋒尊(せきほうそん)と深い繋がりを持つ者。
聶明玦の死で、一番得をするのは誰だ?
<金鱗台 清談会>
金鱗台の正面に伸びる道の両側には、色鮮やかな壁画や浮き彫りが連なっている。それらは全て金家の歴代宗主と名士たちの生前の功績を描いたもの。
金光瑤は会ったことのある者なら、相手の顔、名前、年齢、称号すべてを記憶してしまう。二度以上の面識があれば、彼は相手のあらゆる好みを把握して、相手に合わせてもてなそうとする。前触れなく訪れた藍忘儀のための来賓席は用意されていなかったが、金光瑤はすぐさま手配した。
蘇渉(スーショー) 蘇憫善(スー・ミンシャン)
秣陵蘇氏(まつりょうスーし)宗主
金闡(ジン・チャン)
金凌と同世代の子供
秦愫(チンスー) 愛称 阿愫(アースー)
金光瑤の正室で金鱗台の女主
蘭陵金氏の配下の楽陵秦氏(らくりょうチンし)出身
秦蒼業(チン・ツァンイエ)の娘
秦蒼業は金光瑤の出生の件で、結婚には反対していた。
英傑(えいけつ)・・才気と勇気に優れている人
魏無羨「斂芳尊?莫玄羽がつきまとってた相手は・・よりによって金光瑤だったのか⁉」
魏無羨「(藍忘儀も藍曦臣もこの件どころか莫玄羽の存在すら知らなかったってことは、蘭陵金氏は彼の醜聞を徹底的に隠し通していたわけだ。莫玄羽はなんと言っても宗主の血筋だ。まして金光瑤は異母兄弟。実に十分すぎるほどの不祥事だ。)」
藍忘儀「金光瑤には息子が一人いたが、他者の手にかかり幼くして死んだ。」
当初金光瑤の見張りやぐらの建設に反対する者も多く、その宗主の一人が議論に負けた怒りに任せて、金光瑤と秦愫の一人息子を殺害した。金光瑤は相手の世家を断絶させ、息子の復讐を果たした。しかし秦愫はひどく心を痛め、それ以来二度と子供を授かることはなかった。