生涯訪ねるとは思いませんでしたが、この度ご縁をいただき、行ってまいりました。
神棚に氏神様ともう一枚お札があるのを不思議に思っていたのですが、ここで初めて、日本の最高神天照大御神様が日本国民の総氏神様だからなのだと知りました(すみません・・)。
天照大御神様のお神札は、『神宮大麻』で、大麻「たいま」は「おおぬさ」とも読み、お祓いに使う木綿や麻を意味するようです。
こちらのお神札は伊勢の神宮だけでなく、全国の神社でも受けることが出来ます。
柱・・神様の数えの単位
神話(古事記)『岩戸隠れ』
大暴れする弟スサノオ神に心痛めた天照様は、洞窟にこもり、大きな岩で入り口を塞ぎました。そして世界は暗闇に閉ざされます。
神々は天照様を外に出すために、洞窟の前で大宴会を開き、楽しそうに大騒ぎします。
それを不思議に思った天照様がこっそり覗いて尋ねると、自分より尊い神様が現れたことを皆で祝っているのだと聞かされます。
そしてこれがその神様だよ、と鏡を見せられます。まさか自分が鏡に写し出されているとは思わず、身を乗り出して覗き込んだ天照様は、力持ちの神様に引っ張り出されてしまいました。
この鏡が神器、八咫の鏡ですね。
その後天照様は三重県伊勢の国を気に入り、神宮が建てられ、八咫の鏡が保管されたのだそうです。

伊勢の神宮について
伊勢神宮、正式名称『神宮』は内宮(ないくう)と外宮(げくう)を御正宮として、14の別宮と109の摂社、末社、所管社の125社から成り立っているとのことです。
私どもはすっかり同じ敷地内にて全て参拝出来るのかと思っていましたが・・
伊勢市だけではなく、4市2郡の広範囲に分布していて、車でも1日で回るのは難しいとの事です。知り合いはタクシーで3日かかったそうです。
御朱印は内宮、外宮の神楽殿と、月読宮、瀧原宮、伊雑宮、倭姫宮、月夜見宮の計7か所でいただけるそうです。
こちらは内宮と外宮でいただいた御朱印です。

唯一神明造り
社殿の造りは神明造という特別な建築法で、日本最古の神社建築様式で建てられているそうですが、伊勢の神宮は日本国民の総氏神様であること、他の神社は伊勢の神宮の御正殿とは同じ造りに出来ないことなどから、唯一神明造り(ゆいいつしんめいづくり)と言われるのだそうです。
式年遷宮(しきねんせんぐう)
伊勢の神宮では20年ごとに社殿を新しくして引っ越しをするそうで、神宮最大のお祭りなのだそうです。次回は2033年。始まりは飛鳥時代。1300年以上の歴史なのだそうです。新しい社殿を建てるため、隣には空き地があります。
お賽銭箱はありません
伊勢の神宮は所願成就。あらゆる願いを聞き届けてくださるのですが、個人的なお願いではなく、日本の平和と国民の幸せを祈ります。
そのため本来正宮は紙幣禁断、お供え物やお賽銭をして私的なお願いをしてはいけないのだそうで、内宮、外宮、どちらの正宮にもお賽銭箱はありません。
しかし皆がお賽銭を投げ込むため、穢さないように御幌(みとばり)という白い布が敷かれたのだとか。
厳格にお賽銭を禁じている訳ではないようです。
おみくじはありません
お伊勢参り出来たことがすでに『大吉』なので、おみくじはないそうです。おみくじは家の近くの神社で引くものなのだそうです。
一生に一度はお伊勢参り
江戸時代にはお伊勢参りが流行し、多くの人が伊勢の神宮を目指したそうで、江戸時代の人々の参拝ルートは
二見浦 ⇒ 外宮 ⇒ 内宮 ⇒ 朝熊神社
の順だと言われています。
1 二見浦 で禊(みそぎ)
JR参宮線「二見浦駅」から徒歩で約15分
バスは「夫婦岩東口」下車徒歩5分
こちらの神社のご祭神はこの地に降りた天照大御神をお迎えした猿田彦大神。
夫婦岩は興玉神石の門石で、「天の岩門」と呼ばれていたそうです。
年に一度、夫婦岩の間からダイヤモンド富士が重なる日があるのだとか。
夫婦岩は電車からも見えましたよ!
2 外宮(げくう)
外宮に祀られている 豊受大御神 は食物や穀物を司る女神で、天照大御神様の食を司る神様として迎えられたそうです。ご利益は衣食住・産業です。

川原祓所(通称三つ石)
しめ縄で結界が張られている、聖域なのだそうです。
式年遷宮が行われる時にこちらでお祓いの儀式が行われるそうです。
神様ですので、小銭を投げ入れたり手をかざすのはタブーなのだそうです。
パワースポットだ、とついついやってしまいそうですね・・
内宮にも同じように四至神(みやのめぐりのかみ)という、社殿を持たない神社があるそうです。
外宮には勾玉の形をしたお守りがとてもかわいくて珍しいのでお勧めです。

3 内宮(ないくう)
外宮からバスが出ています。外宮前バス停から内宮前バス停まで約20分です。
約2000年の歴史なのだそうです


五十鈴川は身をお清めする場所なので小銭を投げ込むのはタブーですが、
五十鈴川を守る神様瀧祭神にはお賽銭箱があります。

内宮では巾着型やちょっと変わった形のお守りがありました。
4 朝熊神社(あさくまじんじゃ)
祀られている神様は朝熊平野の守り神で、五穀と水の神様三柱
大歳神(おおとしのかみ)
苔虫神(こけむしのかみ)
朝熊水神(あさくまのみずのかみ)
です。
『朝熊岳金剛證寺』は伊勢神宮の奥の院とも言われ、内宮の鬼門を守っていて、神仏混合の名残がここにあります。
内宮から近鉄五十鈴川駅へ
徒歩で向かう途中に寄りました。
猿田彦神社 (さるたひこじんじゃ)
伊勢神宮の別宮や末社、摂社には含まれてはいませんが、神話上では伊勢神宮と深い関わりのある神社のようです。
みちひらきの神 猿田彦大神 が祀られています。

万事を良い方向へ導いてくださる神様ですので、地元の方々はこちらで結婚式を行うようです。
また芸能の神様 アメノウズメ も祀られています。
アメノウズメは神話『岩戸隠れ』で、天照大御神を岩から出すために全裸で神楽を踊ってその場を盛り上げた神様で、のちに猿田彦大神とご結婚されたそうです。
月読宮 (つきよみのみや)
とても清閑とした所でした。
ご祭神は 月夜見尊(ツキヨミノミコト)天照大御神の弟神です。
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)も祀られています。
ちなみに同じご祭神を祀る 月夜見宮 も同様に『つきよみのみや』と読み、こちらは外宮の別宮なのだそうです。

おかげ横丁で食べ歩き
江戸時代~明治時代、お伊勢参りでにぎわった鳥居前の町並みを再現した観光地で、内宮近くにあります。
地元の方から伊勢うどんをぜひ、と言われましたので、いただきました。

麺がやわらかく太いです。好みは割れるそうですが、固麺好きな私でも美味しくいただけました!
赤福本店

作りたての赤福をお店で食べることが出来ます。お茶付きです。お餅が柔らかくて、より一層美味しくいただけました!
ちなみに見た目が同じ『お福餅』も食べてみました。
お福餅は赤福の方が有名になってしまったため、偽物などと言われてしまうのだそうですが、どちらも伊勢を代表する和菓子です。
『お福餅』の方はしっかりと豆の味がしました。
伊勢は松坂に近いので、松坂といえば・・で松坂牛!
串ならお手頃価格で味わえます。
またマンボウ串というのがあって、びっくり。
なんてお店の人に聞いてしまった・・
マンボウが食べられる地域は決まっていて、三重県でも食用とされているのだそうです。カジキマグロのようなお味でした。
『伊勢神宮に呼ばれる』とは?
生涯行くつもりのなかった伊勢へなぜ行くことになったのか。
理由の一つに、埼玉県の三峯神社にお参りした時、ちょうど御朱印帳が終わっていたためそちらで購入したところ、こんなメッセージが挟まれていたのです。
『一、二ページ目は三重県にございます伊勢神宮(内宮・外宮)をご参拝の上御朱印をお受けください。 三峯神社』
この御朱印帳、全部埋められないんだ・・と愕然としたのですが、ふと気づく。
同居人が三重県の人で、なんと、実家は伊勢神宮の近くだったのです。
これが二つ目の理由です。
たぶんどちらか一つだけなら行くことはなかったと思うのですが、この二つの理由により「よし、行くか!」となった訳です。それまでは伊勢の神宮についてほとんど無知状態だったのですが。
後日知ったのですが、『伊勢神宮に呼ばれる』というのがあるそうです。呼ばれるというのは、何も選ばれたとか特別なことなどではなく、神宮に行くタイミングが訪れたり、行こうという気になったりすることのようです。
日頃から神社に参拝している人だとか、前向きでポジティブな人が呼ばれやすい、などと言われているようですが、もしそうであるのならば、私は祈りの力を信じているからではないかと思っています。
昔『MOTHER』というゲームをやったことがあるのですが、どうしてもラスボスが倒せませんでした。戦う時の選択肢は確か3つ。『攻撃』と『逃げる』、そして『祈る』。こんな感じだったと思います。まさかとは思いましたが・・攻略法は『祈る』だと人から教えてもらい、何度も『祈る』を選択することでやっとラスボスを倒せた記憶があります。
人の想いや祈りが何よりも強いのだ、といったメッセージは多岐にわたって伝えられているのではないでしょうか。
伊勢の神宮では個人的なお願いではなく、日本の平和と国民の幸せを祈ります。
だからこそ、祈りの力を信じている私はきっかけをいただけたのではないか、と勝手に思っているのです。皆の平和と幸せをより多くの人が祈れば、きっとその願いは叶うのですから。
当たり前ではないこの平和な日常が、どうかいつまでも続きますように。