アニメ烈火澆愁 (れっかぎょうしゅう)
用語・補足説明
注)日本語翻訳版小説は出ていないため、中国語版の独自翻訳による独自解釈となり、著者様の意に沿ったものではない可能性があります。あくまで参考としてご覧ください。
【烈火澆愁】
<第8話> 真 相
盛霊淵「祭壇は兀人にとって禁断の地だ」
祭壇の中心には許可なく立ち入ってはならない。
兀族の者たちは外側の円にある洞窟で休息し、静かに泣いたり、お互いを慰め合ったりしていた。
宣璣「ここには秘術がたくさんあるのか?なぜ阿洛津はそれを使わないんだ?」
盛霊淵「彼にはそうする勇気がなかった。冒涜になるからだ。それに多くの秘術は致死率が高ければ高いほど、支払う代償も大きい。老族長はあまりにも性急に去ったため、阿洛津は兀族の術のほとんどを部分的にしか理解しておらず、事態を悪化させることを恐れていたのだ。」
傀儡(かいらい)人形/傀儡術・・・操り人形
阿洛津は驚愕した。家族への手紙、殺された老族長、彼と共に育った護衛(侍衛(じえい))が誰にも気づかれずに傀儡人形となっていた・・すべてが1本の線につながり、漠然と1つの真実を指し示しているように思えた。
宣璣「阿洛津が手紙を託した信頼する奴って、誰なんだ?」
盛霊淵「当時、私は即位したばかりで忙しさに追われていた。兀族の若き族長阿洛津の世話は、当然のことながら彼に委ねられた・・・几帳面で思慮深い私の師匠、丹離に。
丹離(ダン・リー)/皇帝の師
盛霊淵「この世に偶然などない。」
盛霊淵「すべては綿密に計画されていた。」
隠棲(いんせい)する一族・・兀族は何世代にもわたって東州に住み、山、川、土地、そして万物に精霊が宿ると信じていた。自然災害が続いても、彼らは決して故郷を離れない。なぜなら、この部族は彼ら自身も植物や木と同じだから、故郷を離れることは根を捨てることであり、それは災いをもたらすのだと信じてきたからである。
彼らは友好的であるにもかかわらず、決して東州を離れない。
しかし兀族の気質上、助けずに罪のない子供が死ぬのをただ見ていることは不可能だった。この子供が兀族の丘に足を踏み入れれば、兀族の片足が人族の陣営に引き込まれることになる。
歴史書に書かれていることすべて、さりげなく触れられていることすべてには、独自の隠された目的がある。
盛霊淵「丹離は、当時は他に選択肢がなかったと言った。妖族を倒さなければ、人族は滅亡するだろうと。」
盛霊淵「知りたいのだろう?種類の違う人面蝶は一体何なのか。」
山羊髭男はそれまでの『中毒の術』とは違って、蝶に感染した少年は言う事を聞かず、全く制御出来なかったと言っていた。
封印されていた壺が次々と砕け散り、浮かび上がる黒い影は解き放たれた亡霊のように祭壇の中を暴れ回った。
凶暴な炎が放った禁術は、血肉の匂いを嗅ぎつけ、阿洛津へと襲い掛かかった。
『生死の花』は白から赤へと変わり、彼はさまざまな毒の呪いによって引き裂かれ、生と死、死と生を経験した。
阿洛津の足元から血が流れ出て、その上にゴマ粒ほどの大きさの蝶の幼虫が浮かんだ。すくすくと成長し、羽を広げる。『鏡花水月蝶』とは異なり、この血に染まった蝶は人間の体から離れて飛び立ち、 群衆に向かって飛んでいった。
盛霊淵「あやかしの炎(妖火)でも焼けない呪い」
洞窟の入り口を塞いでいた真っ白に変わる妖火(あやかしの炎)に飛び出した者は、火に触れるとすぐに灰になってしまった。
しかし、蝶に寄生されると炎に焼かれても灰になることはなく、『生きて』いたのだ。
丹離「陛下、阿洛津は魔となり、この洞窟の人々は皆彼の人面蝶人形!ここにはもう生きている者はいない!」
丹離「もし彼らがここから出たら、何百万人もの人々はどうなるのでしょうか?」
これは二つの意味を持つ。
呪われた人面蝶が外に出たら、どのような結果になるかは誰にも分からない。これらの蝶は明らかに元の種とは異なっているからだ。
そして阿洛津は言うまでもない。彼はもともと極端な気質を持っていて『妖族』を憎んでいた。 妖族が善と悪に分かれていようと彼には関係なかった。彼は妖族の街を通過するたびに人々を虐殺し、誰一人として生き残らせなかった。この彼の憎しみが『人類』へ向かったらどうなるのだろうか。
彼は魔となり、生きることも死ぬこともできない。彼に世界中の人々を殺させるつもりなのか?
若き盛霊淵は逃げることもできずに火の海でもがく黒焦げの人々を見つめていたが、腰から短剣を取り出し群衆を斬り始めた。兀族の人々は一瞬もがき、倒れると蝶が体から飛び出した。
刺された阿洛津は信じられないという顔でそのナイフを見つめた。
阿洛津「駆百邪(くひゃくじゃ)・・・俺が兄さんに贈ったんだよね・・・」
丹離は5年後斬首された。
この武帝の「偉業」の中には「親族や師匠を殺害した」という項目もある。
盛霊淵「賢いな、小妖。なぜわかった?」
『遡回』の記憶は恨み、愛、憎しみが絡み合って豊かな感情で満ちており、それは盛霊淵の態度とは矛盾している。知り合ってからというもの、宣璣はこの陛下にはまったく人間らしさがないと感じていた。これらすべての感傷的なシーンはどこから来たのだろうか?
盛霊淵「知己(ちき)(よく私を理解している)だな」
盛霊淵「私には『遡回』の術者の前で、偽の記憶を捏造出来るほどの力はない」
盛霊淵は彼に「質問しろ」と言ったが、実際には宣璣は阿洛津に質問していたのだ。
記憶には 3 つの視点があることがわかる。阿洛津、盛霊淵、そして最も奇妙な丹離だ。
丹離の視点は最後に登場した。丹離は常に彼らの傍にいたはずなのに、盛霊淵によって制御され、最後まで隠されていた。傀儡人形は丹離によって操作されていたため、その視点は丹離の視点となる。
阿洛津は自分の視点と盛霊淵の視点をはっきりと見分けられる。となれば、三つ目の視点は、宣璣の記憶でしかない。
宣璣「阿洛津は傀儡人形の視点が俺の視点だと勘違いして、必ず俺を敵として殺しに来る。俺は陛下の疑似餌(ぎじえ)(釣りの餌)、そして人間の盾だ!」
阿洛津の最後の言葉は祝福の言葉で、長寿を願う良い言葉ではあったが、宣璣を震え上がらせた。