アニメ烈火澆愁 (れっかぎょうしゅう)
用語・補足説明
注)日本語翻訳版小説は出ていないため、中国語版の独自翻訳による独自解釈となり、著者様の意に沿ったものではない可能性があります。あくまで参考としてご覧ください。
【烈火澆愁】
<第11話> 再 戦
3,000年前、『赤淵』は『南明谷』と呼ばれ、朱雀一族の生息地だった。
神鳥(しんちょう)である朱雀は特別な地位であり、妖族から高い尊敬を集め、南の地の守護聖人として人族からも崇敬されていた。厳密に言えば妖族だが、神のような扱いを受けていた。
南明渓谷の底のマグマには、朱雀一族を除いていかなる生き物も近づくことはできない。人族と妖族はこの自然の壁、分水界(ぶんすいかい)によって明確な境界線で隔てられていた。
戦乱の原因は自然災害だった。
多くの妖族は命をつなぐため障壁を越えて人族の領土に移住しようとした。人族も同じ問題に直面していた。衝突が起きるのは必然だ。
二つの部族の間で板挟みとなった南明谷の朱雀一族は窮地に陥いり、南明渓谷を強制的に燃やして人族と妖族を分離させるしかなかった。
人族の平帝(盛霊淵の父)は罠を仕掛けて妖族を虐殺。妖王は激怒し、仲裁する朱雀一族を屠(ほふ)るべく罠に掛けて全滅させ、南明谷を手中に収めた。
混沌の時代が始まり、平帝を含め10万人の人族と妖族がそこで死んだ。それ以来、南明谷は炎の地獄となり、『赤淵』と改名された。
妖王が倒れて大戦争が終わった後も、奈落の怒りの炎は依然として燃え続けた。
朱雀一族が『赤淵』を守護してきた理由は、『赤淵』の地下の炎が『魔力』の源だったからだ。『赤淵』を制する者は全ての魔を制することができる。『赤淵』を制御する者がいなければ、人間を除いてすべての種族は魔のエネルギーによって奴隷化され、必然的に再び戦争が勃発するだろう。
人皇(盛霊淵)として、選択肢はなかった。四方を平定した後、『赤淵』の炎を消すために朱雀の祖先の墓から炎でも燃えない骨を掘り出し、秘法を用いて三十六の封火令(ふうかれい)を『赤淵』に置いたのだった。
盛霊淵「炎の守護者は取り立てに来たのか?」
盛霊淵「『炎の守護者』は朱雀の骨から誕生した。あの小妖は炎の守護者から生まれた精霊のはずだ。36人の『守護者』。過去三千年の間、赤淵が混乱に陥るたびに鎮圧し、封火令は破壊された。これを『一族』と呼ぶのなら・・・」
炎の守護者の一族は盛霊淵自身によって創造され、犠牲になるために生まれた。
盛霊淵が死後も安らかに眠れないのも無理はない。宣璣が彼の債権者だということが判明したのだ。
小妖の記憶の中、赤淵の祭壇脇に 35枚の石板があった。つまり、あの小妖は最後の炎の守護者であり、朱鳥骨の封印の残骸だけが残っていたのだ。邪悪な霊が次々と現れたのも無理はない。
36代目。彼が最後の障壁だった。
盛霊淵は鋭い痛みを胸に感じた。彼は漠然とそれが何であるかを知っているような気がした。眉をひそめてしばらく考えたが、思い出せなかった。「私は本当に歳をとった・・」とため息をつき、こめかみを押さえた。「記憶力が悪い・・・」
もし、『千霊法陣』で目覚めさせた者が炎の守護者の正体を知ったなら、狂人の阿洛津は小妖を殺してしまうだろう。
あの小妖に何か起こったら、赤淵は燃えてしまうのでは?
盛霊淵は阿洛津がホテルの近くに現れたのを感じ取った。
盛霊淵「九天雷術(きゅうてんらいじゅつ)が触発されたか」
兀族の墓では、すべての人がその場に凍りついた。隣にいる者が敵か味方かさえ分からず、見えない敵と共に誰が雷に打たれるか、全く予想もつかなかった。
肖征は全身凍りつくような感覚を覚えた。五感が何かに覆われたようだった。手足は思うように動かず、毛が逆立つのを感じた。
肖征は善後班を呪う間もなく、雷に完全に包まれてしまった。周囲には同僚たちがいる。彼は雷のエネルギーを集中させ、戒めの攻撃範囲を最小限に抑えるしかなかった。激しい雷は瞬く間に彼の肉体を突き破った。
爆発的な雷鳴と悲惨な轟音の中、白い影は消えた。
平倩如「通常こんな状況では、反響音で処理します・・・」
盛霊淵は『反響音』が何なのかよく分かっていなかったが、類推することはできた。かつて幻影に惑わされ死に追い込まれるのを防ぐために似たようなものを使っていた。盛霊淵は反響音の信号を直接模倣して自らを増幅器と見なし、多くの人を幻影に引き込むと、わずかに眉をひそめ、数え切れないほどの恐怖の思考を受け入れた。『反響音』が盛霊淵のこめかみを刺激した。
宣璣は阿洛津の『派手な乗り物』白骨蝶の骨の形をはっきりと見た。それらはすべて人間の骨だった。考えるまでもなくそれらがどこから来たのかがわかり、全身に鳥肌が立った。
谷月汐「彼の体の血洞のある場所がエネルギーコアね」
王沢の射撃技術は間違いなく国家レベルだった。しかし特殊処理された弾丸はまるで海に投げ込まれた砂のように、波紋一つ残さず阿洛津の眉間へと吸い込まれていった。
どうして彼はこんなに強いのだろうか?盛霊淵はいとも簡単に彼に数本の釘を打ち込んでいたのに。
環境保護に気を配っているわけではないが、木一本を燃やすことさえためらう。この森林公園は街に近すぎる。かと言って阿洛津を連れて森から飛び出すのは不可能だった。火で精錬された阿洛津のような人魔は、耐火性が高いだろう。彼を傷つけられるほどの火は東州全体をオーブンに変えるほどで、王沢がそれを消すことは不可能だ。
考える暇などなかった。阿洛津の手の中に風の刃が凝縮されていく。
宣璣「老王(ラオワン)(王沢)、俺が撃った弾を水流で包め。」
水の幕で壁を作るのと、飛んでくる弾丸を水の膜で包むことは全く異なる。視力、反応速度、そして能力の制御は極めて精密でなければならない。
宣璣の眉間に炎色の模様、三千年伝承されてきた古代のトーテムが浮かび上がった。阿洛津はそれを見て、険しい笑みを浮かべた。
宣璣は仲間の抗議を待たず、即座に3発目と4発目を発射した。阿洛津に命中することなく、弾丸が一つ増えるごとに、王沢のプレッシャーは増していく。
谷月汐はエンジンを分解し、車内の水タンクを取り出した。
阿洛津は両手で三メートルの風の刃を凝縮し、宣璣へと投げつけた。宣璣は表情一つ変えずに7発目の弾丸を発射していた。
炎色の巨大な陣が出現し、阿洛津はその中心にいた。
七つの炎を模したもので、 釘によって阿洛津の体にできた血痕と対応していた。炎は細い糸のように阿洛津の体を貫き、地面に『縫い付ける』ように燃えていた。
人魔を封じ込めた陣は、宣璣が二日前に読んだ古書に書かれていたものであった。
張昭「宣班長、これ、どう処理する?」
宣璣「この陣形しか知らない。俺は動けない。動けば崩れてしまう。」
携帯電話を通して送られてきた『千霊法陣』の霊紋により、陣形はたちまち崩れ、炎色の細い線は阿洛津の怒りを帯び、宣璣へ反撃した。宣璣は絶望した。最初の給料が支払われる前に殉職することになるなんて!
その時、一人の人影が彼の目の前に立ちはだかった。炎色の糸が男の体を貫いた。男はわずかに震えたが、声は出さなかった。