残次品~放逐星空
(ざんじひん~ほうちくせいくう)
用語・補足説明

<エピソード13> 源 異 人

林静恒「ワープ地点を使ってスキャン半径を広げろ」
最も近いワープポイントを経由し、スキャン信号を他のワープポイントに送信して範囲をワープネットワーク全体に拡大させる、遠隔スキャン。
林静恒は人生の大半を戦闘機甲の中で過ごしてきた。エネルギー波のパターンを一目見ただけで、何かがおかしいと感じた。
湛盧「凱菜親王護衛隊のマークを確認」
湛盧「彼らは実弾を装備した中規模の機甲部隊編成です。」
林静恒「白鷺(バイルー)星は辺鄙な場所にあり、様々な地下航路の結節点となっている。奴らが白鷺星を爆撃したのはおそらく地下航路を完全に排除するつもりなのだろう」
林静恒「奴らがこのまま進めば・・・補給所近くの地下航路に近づくことになる」
奴らの前進を許すことはできない。林静恒にとっては粒子流など、第八星系の太陽嵐に比べれば比較的小さな衝撃波だ。
林静恒「源異人?噂によれば嗜好が独特だとか」
湛盧「凱菜親王の忠実な『信者』です。データベースで彼の映像を見つけました。彼は地下闇市で『黒鱗(ヘイリン)』と呼ばれ、『美しい人首蛇体』を購入しました。」
林静恒「つまり、源異人は闇市と地下航路に非常に詳しいということだ。」
湛盧「筋肉溶解剤を?」

速効性筋肉溶解剤は、林静恒のほぼ完璧な筋肉層を30分で破壊した。長年の過酷な生活と絶え間ないトレーニングにより、彼の体脂肪率は極めて低かった。筋肉層が薄くなると、全身はすっかり衰弱しきった。
海賊「艦隊の正面に怪しい機甲が」
2時間後、海賊たちは警戒区域に漂う機甲を発見した。機甲はひどくボロボロで、動力システムは機能せず、一定の速度で回転していた。防御力は事実上ゼロで、機甲の精神網も空っぽだった。そして中には「意識不明」の操縦士がいた。
源異人「さてと、こちらの客人を起こしてやろう」
海賊「奴の機甲には地下航路のぼやけた地図がありました。地下航路で密輸をしているのでしょう。精神リンクから強制離脱され意識を失ったようです。鎮静剤数ミリグラムで蘇生するでしょう」

源異人「鎮静剤を注射する前に、ちょっとした贈り物だ」
林静恒「海蛇(ハイショー)」
これは第八星系の地下航路から来た者にはよくある名前だった。
源異人「最高のコレクションになりそうだ」
源異人は海蛇を一瞥した。宿敵林静恒を彷彿とさせたが、とうに死んだ人間であり、こんなに弱々しい訳がない。その顔には魅了されたが、この独特の濃い灰色の目は許せなかった。源異人は、彩虹ウイルスが蔓延したら彼の目をくり抜いて、濃い茶色か黒色の目に取り替えようと決心した。
海賊「注射の中身は彩虹ウイルスだ」
彩虹ウイルスは体に根付き、完全に衰弱させる。3時間後にはまばたきする程度の力しか残らない。そして、手足や臓器は徐々に機能不全に陥り、免疫システムが崩壊していく。この時点で、壊死した部分を取り除いて移植手術を行えば、拒絶反応を最小限に抑えることができる。彼の体はどんな形にも容易に形を変えられる、完璧な接ぎ木植物となるだろう。
(湛盧「感染後3時間で抗体の影響で高熱が出ます」)
通常、彩虹ウイルスは24時間潜伏してから発症するが、彼は事前に総合抗体を注射しているので、抗体がウイルスを完全に排除しようと最長3時間以内に高熱を出す。

林静恒「体を張った作戦だな」
臭大姐と仲たがいしているにもかかわらず、地下航路の座標を明かそうとしない海蛇を『ガイド』として泳がせる源異人と、少年の『誘導作戦』に乗ったふりをする林静恒。二人の演者は生死をかけた駆け引きを暗黙のうちに演じた。