残次品~放逐星空
(ざんじひん~ほうちくせいくう)

人類の未来はどこへ向かうのか?<その4>

" 陸校長は古代の虎符のような存在だ。彼一人で陸信の部下全員の信頼を勝ち得る。彼の価値は白銀要塞よりも大きい。 ”
林静恒「白銀要塞を破壊するには、数千もの超次元重機甲が必要となる。白銀要塞の近くに全ての重機甲を収容できる場所を確保する必要があったはずだ。ハチドリ要塞の位置と軌道は理想的だ。」
林静恒「ハチドリ要塞のイェリフは陸信の元部下だ。」
陸信が逃亡した時、多くの部下が彼の後に続いた。連盟はその時の部下たちのリストを未だ入手できずにいるため、彼らはその後も陸信の部下であったことを隠して潜伏していた。その極秘リストは、陸信が『逃亡』した夜の映像とともに暗号化ファイルに含まれていて、林静恒が受け取っていた。陸信は部下たちの命を銃口から守り、死後も彼らの身元を守ったのだった。
林静恒はリストを見た後破棄し、イェリフを除くリストに載っていた者たちを七大星系の腐った土に埋め、彼らが連盟を貫く根や枝を伸ばすのを待ったのだった。
独眼鷹「最年少で上将になったお前は俺たち陸信の腹心を権力を盾に押さえつけた」
当時、七大星系の中央軍に将軍を派遣するという事は、事実上追放に等しいと言われていた。陸信の元部下たちの林静恒への恨みは深く根付いていた。
ユウ・ウィリアム「陸信将軍は第八星系に進軍し、我々民間人も『自由連盟軍』を結成しました。」
連盟は『自由連盟軍』を正式な軍隊として認めなかったが、連盟に従い、連盟の自由宣言を信じ、100年以上前に血と炎で鍛え上げられた軍隊だった。
エドワード「我が第八星系自由連盟軍も陸信将軍のかつての部下だったのだ。」
独眼鷹「裏切られた!奴とは生死をかけた友情を育んできた。かつて同じ機甲に乗り、50日以上も宇宙を共に漂っていたというのに・・・。」
アンクル「林静恒・・・生きていたのか」
かつて陸信の部下だった彼は、陸信によって第七星系に転属させられていた。陸信は彼に軍功を積ませて、呼び戻すつもりだったようだ。
アンクル「将軍があんなに愛情込めて育てたというのに・・・残念だ。」
林静恒「アンクルと反烏托邦協会は共謀している」
しかし第七星系の平穏な街路通りを眺めたエドワード総長は、陸信将軍の元部下たちがイデオロギーを捨て、海賊たちと連携していることに対する非難はやめた。
恥知らずであろうとも、両方の側に立ちさえすれば、星系に比較的平和をもたらす機会を得られるかもしれない。機会があればそうしたいとさえ思った。
陸必行「時には、その人が本当に誠実なのか、それとも陰謀を企んでいて人を操ろうとしているのか・・・見分けるのは難しいね。」
独眼鷹「俺の息子を利用すれば・・・」
林静恒「いや」
陸必行「皆様、こんにちは。第八星系星際連盟政府を代表し、この危機的な状況において共に立ち上がることを選んでくださり、感謝申し上げます。」

トゥラン「第一星系を占領した光栄団は政権転覆を目指しており、民衆の支持を獲得する必要があります。 そのため、彼らは他の海賊どもと距離を置き、奴らを非合法テロ組織と指定する声明を発表しました。」
反烏托邦協会「光栄団は反乱を起こす前から我々を滅ぼす計画を立てていたに違いない。表面上は我々と資源や航路を共有すると主張していたが、白銀要塞を占領するとすぐに反旗を翻し、首都星を直接占領した。さらに連盟軍を動員させ、我々の組織を第一星系から追い出したのだ。」
ホープ「光栄団の裏切りは予想通りだ。域外にいた間は仕方なく互いに頼り合い、苦難を分かち合ってきた。だからと言って、戻った時も共にいられる保証などない」
永遠の『光栄帝国』を夢見る光栄団は、連盟のいくつかの軍事要塞を爆破し、首都星を占領した。
大統領「林静恒は潜伏するような人物ではないが、今は第八星系に潜伏している。何らかの理由で白銀十衛を召集できないに違いない。彼が本格的に活動を始める前に攻撃しなければならない。しかし第八星系に私の手は届かない。君はどうだ?イェリフ」
大統領「私が言っているのは八つの星系に散らばっている君の古い同志たちのことだ」

サタデー「自分たちの家を自分たちで守れます!」
かつての自衛隊には階級制度も指揮官もなかった。そんな羊の群れの中、一匹の羊が一筋の希望を掴み、皆を鼓舞して前に進む。
サタデーは自衛隊の組織計画を作成し、4人の学生と共に「自衛隊管理規則」をまとめ上げていた。
林静恒はサタデーに空想はやめろ、と陸必行を直接傷つけないよう、回りくどく表現して警告した。林静恒上将にとって、いわゆる『自衛隊』は単なるままごと遊びに過ぎない。
陸必行は林静恒の言葉を捻じ曲げてサタデーに言った。「林上将は、もし白銀十衛の規律を守れるなら、君らの訓練を手伝ってくれると言ってるんだ。」
自衛隊は白銀十衛のスケジュールを真似し始めた。
林静恒「白銀十衛は厳しい訓練を受けたから精鋭部隊になったわけではない。彼はこの点を勘違いしてる。部下はすぐに逃げ出してしまうだろう」
林静恒の言った通り、士気は完全に崩壊、内部抗争が勃発した。
それでも陸必行は諦めず、基地の人々を『兵士』として扱う。
陸必行「きっと道はある。泥を混ぜる方法もあるし、砂を集める方法もある。」
サタデーが自衛隊の解散を決意した最後の長距離パトロール中、凱菜親王の偵察隊に遭遇した。
林静恒「そのまま隠れ続けても構わないが、長距離信号で特定される可能性はある。だったらその前に殺るかだ。」
サタデー「林・・・林将軍、誰が誰を殺すんだ?ああ!ちくしょう、ミサイルを撃とうとしている!」
林静恒「おめでとう、それが運命だ。」
サタデーは林静恒がなぜあんなに横暴なのかを理解した。
声なき儀式。陸必行は星際放浪者の葬儀を目にしたのは初めてだった。
サタデー「俺は先生に騙されていたんだと分かる。自ら運命を選んだのではなく、ただ運命に突き動かされ、不可解なままここまで来てしまっただけだったんだ。」
彼の顔は血と涙でぐちゃぐちゃだった。
白銀九と自衛隊員たちはお互いに好奇的な目を向け、動物園でも見られないような珍しい生き物だと感じていた。
林静恒「連盟軍の軍事統制権は俺にある。白銀要塞だろうが第八星系だろうが、俺がいるところに軍事自治権があるようなものだ。俺は第八星系の防衛を再建する。」

陸必行「白銀十衛は連盟の精鋭部隊だ。解散前は白銀要塞に駐屯していた。彼らがいたから星際海賊は八大星系への侵攻に一歩も踏み出せなかった。彼らは十年以上もの間一度も敗北することなく戦い続け、八大星系を守ってきたんだ。」
林静恒「白銀十衛は俺に逆らうことはない。白銀十衛の忠誠は連盟ではなく、俺にあるからだ」
独眼鷹「お前は白銀要塞に密かに私兵を集めていたのか?」
林静恒「奇襲には当たらないだろう?我々は連盟から助成金を受け取って活動してきたが、連盟のために働いてはいない。連盟に借りなどない。」
林静恒「連盟を去る前に、白銀九を除き、残りの兵は七つの星系で陸信の元部下の近くに潜伏し、現地の中央軍に合流するよう手配した。当初の計画はこれらの中央軍が拠点を構えた暁には、白銀十衛が最後の一撃を放ち、連盟中央委員会に解体を迫るというものだった。」
白銀十衛はかつて陸信に仕えていた。
白銀九隊員「連盟の歴史上、50歳未満の上将は二人しかいない。陸信将軍は第八星系奪還という偉業を成し遂げて昇進した。林上将は平和な時代に生まれ、本来なら年齢と経験上その地位にはふさわしくなかった。複雑な政治的駆け引きに加え、我々白銀十衛が彼を選んだという理由もある。」
ミント「トゥラン将軍、故郷が恋しいですか?もし連盟軍と戦う事になったらどうしますか?」
トゥラン「私の家はどこにある?それに、林静恒上将が戻ってきたんだ、もちろん彼の命令に無条件に従うよ。正直言うと、お嬢さん。命令に従うだけで自分で決断したり責任を負ったりしなくていいのは本当に気持ちいいんだ」
陸必行が帰宅すると、狭いリビングルームのソファ、林将軍は客人をもてなす独特のやり方で手足を広げて真ん中に座り、白銀十衛の隊長たちは彼の後ろに一列に並んで立っていた。
白銀十衛兵「陸総長!」
陸必行「全員座ってよ。どうして罰として立たされているみたいに見えるんだ?」
白銀十衛の誰も、林静恒の許可なしに座ろうとはしなかった。
林静恒はやっと慈悲を示した。「はい、皆、座れ。」
陸必行「患者さん、これから検査があるんだ。その表情と、僕を絞め殺そうとするその手をコントロールできるかい?」
林静恒「・・・・」
ロバート・バイエル「リー兄さん、陸総長を暗殺しろという林将軍からの命令があったら受けるのか?」
リー・フランは聞こえず、口もきけないふりをした。
林静恒「陸総長がノーと言い、俺はイエスと言う。どちらの言うことを聞くんだ?」
陸必行はトゥランに尋ねた。「白銀十衛が僕のものになる可能性はどれくらいある?」
林静恒「白銀十衛は自由宣言に忠実だ。白銀十衛が満場一致で第八星系衛兵に編入されたのは、俺の命令に従わされたからではない。」