残次品~放逐星空
(ざんじひん~ほうちくせいくう)

人類の未来はどこへ向かうのか?<その7>

陸必行「(彼は本当に僕に対しては態度が違う。それは明らかだ)」
陸必行は見たことのない苗木を見つけたような気分だった。彼は疑念と好奇心で胸をいっぱいにし、それが宝物になるのか、それともただの雑草になるのか・・・風雨から苗木を守りながら時折こっそりと覗き、思案したり迷ったりしていた。
独眼鷹「俺には理解出来ないが、男がいいと言うならいいだろう。だが、林静恒だけはやめてくれ!」
陸必行「・・・父さん、更年期の妄想症は治療してもらった方がいいんじゃない?」
苗木を育てようか迷っているうちに、独眼鷹によって掘り起こされ、白日の下に晒されたかのようだ。
陸必行「もしかしたら彼は僕に気があるかもしれないと思っているだけ。まだどうしたらいいのかわからないんだ。」
サタデー「馬鹿な事言うなよ。興味ない相手が欲情していたら、男は普通どうしたらいいかなんて考えもしない。ただ逃げ出すだけだ。」
独眼鷹は吠えた。「林静恒、息子はおまえにはやらん。諦めろ!」
林静恒は独眼鷹が何に憤慨しているのか全く分からず、冷笑して言い返した。「決定権はお前にあるのか?」
独眼鷹「卑劣なやり方で俺の息子に色目を使うのはやめてくれ。」
林静恒は長い間呆然としていたが、思わず言った。「病気か?」
林静恒「この戦争が終われば、連盟は以前と同じではなくなるかもしれない。今後の行き先は考えたか?」
陸必行「僕は君について行くよ。」
林静恒は独眼鷹が言ったとんでもない言葉を思い出し、陸必行の言葉がたちまち曖昧な意味を帯びた。
陸必行は林静恒の灰色の瞳を見つめ、勇気を奮い起こして言った。
「僕には・・・経験があまりないんだけど、理論上は、どうやら・・・」
林静恒「ありがたいが、俺にはその考えはない。」
陸必行「誰かを好きになったとしても、必ずしも関係を持つ必要はない。愛と美を追い求めること、それ事態が美しいプロセスだと思わない?」
湛盧の調査結果から、陸必行は自分と陸信の間に遺伝的な親子関係があることを知った。
林静恒の自分に対する愛情は、どれほどまでが陸信将軍の面目を保つためのものだったのだろうか?過去の出来事が蘇る。もし自分がもう少し繊細で思慮深かったら、二人の間に深く根付いた亀裂に気づけたのだろうか?
陸必行は常に二刀流でいられるという自分の能力に甘んじていた。運命は彼に強烈な平手打ちを食らわせ、避けられない矛盾を目の前に突きつけた。
烏蘭学院は林静恒の魂の拠り所であり、陸必行にとっては第八星系がまさにそれだった。
陸必行「君をこのまま引き留めておいてもいいのかな?いずれにせよ、君が出て行きたいなら、誰にも止められないだろう?もし君が第八星系と僕に飽きたなら・・・」
林静恒にとって、陸必行は、若すぎて、美しすぎて、大切な宝物だった。あまりに価値の高い宝物は安心感をもたらすことはできず、むしろ不安を増大させるだけだ。
『私はあなたに何も求めません。ただ、私なりのやり方であなたを愛し、大切にすることに全力を尽くします。見返りも、相手からの返答も求めません。』
真実は単純だ。与えることで傷つく人はほとんどいない。悲しみは多くの場合、叶わなかった願いから生じる。他人に何の期待も抱かなければ、人は無敵だ。
陸必行「僕が勝手に君を連れ戻したんだ。君を連盟に戻したくなかったのは僕だ。」
陸必行「君がかつて好きだった人はもういない。僕はもう君を市場に連れて行き、オレンジをあげて笑わせた若者ではないし、『どこへ行くとしても、君と一緒に行く』とためらわずに約束することもできなくなった。」
陸必行「君が耐えてきた14年間の苦難を無駄にしないために、どうすればいいのか分からない。僕にはそんな価値はない。そんな重い期待には耐えられない。」
陸必行「いつも策略を巡らせ、いつも君を緊張させて疲れさせて、プレッシャーをかけるような人は、好きじゃないだろう?」
林静恒は期待通りに告白した。「・・・ああ。」
林静恒「これが俺の人生の唯一の意味だ!!気に入らないからといって、捨ててしまえるとでも?」
湛盧「陸校長、失礼ながら、あなたの症状から判断するとある程度の依存症の兆候が見られます。違法薬物を摂取していないことは確かですか?」

"「第八星系は連盟から独立した。昔の言葉で言うなら『海賊』だ」 ”
林静恒「連盟政府の反海賊法によれば、無許可の武装集団は海賊と定義される」
新星紀において、『国家』や『主権』という概念は存在しなかった。域外の海賊でさえ、自らを『反逆者』とみなし、無意識のうちに連盟を統一政府として受け入れていた。光栄団は永遠の光栄帝国を夢見て、その夢の地として首都星を選んだ。連盟に匹敵する政権を名乗ろうとする者は誰もいなかった。
陸必行「第八星系は独立政府を樹立し、新たな暦を採用しました。」
第八星系内紛争は十数回も勃発した。エドワード総長は陸必行の『死刑復活』を容認し、密輸業者を公開処刑した。
陸必行は幾多の戦乱と離反を乗り越え、第八星系の政権を再建したのだった。
ウルフ「第八星系は連盟との接触を断ち、事実上独立を確立している。略奪や強奪で生計を立てる海賊ではない。他の星系からの難民も大量に受け入れている。彼らの存在は正当であり、静恒でさえ彼らを認めている。自由宣言によれば、第八星系は世論が望む限り連盟から脱退する権利を有する。」
ウルフ元帥は306号令に署名した。
女性記者「306号令は明らかに第八星系を狙ったものです。」
ハリス「第八星系は反乱軍よりも危険だとお考えか?この決定は実にウルフらしからぬものだ。」
しかしインタビュー動画の公開により、ウルフが操り人形になったという噂は払拭された。
リー・フラン「陸総長の彩虹ウイルス実験が成功し、超武装の軍隊が今にも連盟に侵攻しようとしているという噂があります。」
女性記者「女媧計画は第八銀河で成功した可能性が高いとのことです。彼らは本物の超兵器を作り上げました。第八星系のリーダーが誰の息子なのかは分かりませんが、彼は彩虹ウイルスの影響を受けないのです。」
陸必行「『独立政府』とは、我々が連盟と対等な政権を樹立したことを意味します。あなた方の言う『自治区』ではありませんし、連盟の法制度も承認しておらず、連盟の承認も必要としていません。」
陸必行は二つの罪を問われ、第八星系で公開裁判を受けることとなった。
「彼は・・陸・・えーと、僕の父だ」陸必行は林に尋ねた。
「裁判のために法廷に出廷するよう求められたとき、どんな感じだった?」
林静恒「連盟は第八星系を幾度となく失望させてきた。かつて陸信が点火した篝火は灰燼に帰した。」
林静恒「そして、二度目に点火したのはおまえだった。」
“ あなたが決して諦めなかった人は、あなたを決して諦めません。 ”
ハーデン「君がどれだけ努力しようと、どれだけ知恵を絞って未来への新たな道を探ろうと、連盟と第八星系がどんな新しい関係や体制を築こうとも、最終的には連盟の過ちを繰り返し、再び滅ぼされるだろう。これが運命だ。」

“ 林静恒はとても興味深いと思った。 ”
ミント「林将軍、あなたの戦闘シミュレーションを見ました。最初は何も分からなかったです。だからいろいろ調べて、陸先生にも聞いたんです。・・・つまりおとりって・・・サタデーたちのことなんでしょ?」
この無知で小さな生き物たちは、馬鹿げた考えで頭がいっぱいで、不毛の地で無秩序に、無謀に成長していた。しかし思いがけず彼らは目と脳を使うことを覚え、群れをなして恐れおののきながらも将軍に向かって声を上げたのだ。
教育の成果だけから判断すると、陸校長の型破りな不良学校は烏蘭学院よりはるかに優れている。
ミント「誰にも他人の価値や生死を決める権利はありません!」
ホワイト「初心者用の機甲があったらいいと思うんだ」
陸必行はホワイトたちの『初心者用機甲』作成の概念が非常に実用的だと考え、アイデアを承認した。
陸必行「エンジニアチームから、初心者用とはいえ所詮は殺傷兵器であり、普及させるのは危険すぎると言われてしまったから、教材として使うよ」
トーマス・ヤン「ホワイト、もし君が第一星系にいたら、烏蘭学院の優秀な卒業生になっていただろうな。」
ホワイト「僕が通っている学校は第八星系で一番の学校なんだ。」
ミント「陸先生、ミサイル防衛システムを改良しましょう!」
陸必行「莫大な軍事生産力と投資が必要だけど、この星系の軍事産業は未整備だ。物質的な基盤が欠けている」
ミント「それなら、シールドの強度を上げることは?」
陸必行「出来るけど・・・卒業を延期する覚悟はある?」
黄静妹「湛盧、白銀要塞のコールド・ディフェンス・システムとミサイル防衛システムに関する情報が欲しいの」
トゥラン「陸総長の教え子の少女が、ミサイル防衛システムという報われない夢を思いついた。それから10年以上経った今も、この大規模プロジェクトは行き詰まり、成果は金の浪費に過ぎないと聞いている。第八星系のこの厳しい財政状況だ、陸総長が彼らの代わりにプレッシャーをかけてくれなければ、とっくに棚上げされていただろう」
黄静妹は絶望視されていた対ミサイル研究に揺るぎない情熱を注ぎ込んだ。
成人したミントは『星際探検隊』への参加を志願したが、陸必行は承認しなかった。ミントは星海学院開会式の演説コピーをそっと彼に送った。
『お金よりも貴重なものは知識であり、知識よりも貴重なものは尽きることのない好奇心であり、好奇心よりも貴重なものは頭上の星空である。』
そしてプロジェクトは動き出す。
陸必行「君たちは死ぬかもしれないし、あるいは死よりも悪い、未知の生命状態に陥るかもしれない。心の準備はできていますか?」
人間には四肢がある。陸必行には生徒が四人しか残っていない。一人失えば、手足を切り落とされたのと同じだ。
闘鶏「俺は護衛隊の隊長なんだ」
軍服を着た闘鶏は背が高く、力強くなったように見えた。
陸必行は敵機甲が向かう方向を見て衝撃を受けた。
護衛艦には、軽量化された一撃分のミサイルしか搭載されていない。
陸必行「ヴィタス、道を譲れ!」
通信回線からの指示を聞いた闘鶏は、ミントを生態ポッドに押し込み心の中で言った。
闘鶏「(お断りだよ、陸先生。)」
ミント「闘鶏、よくも・・・」
闘鶏は第八星系風の罵詈雑言を封じて微笑み、生態ポッドをハッチから押し出した。
闘鶏「ミサイル、発射!」
― 命題 『人類の未来はどこへ向かうのか?』 ―
これはあまりにも大きすぎるテーマです、陸先生
四人は幾多の苦難を乗り越えてきた。そしてそれぞれ違う方向に進んだが、まるで家族のように仲が良かった。

" 強力な守護者であるだけでなく、怖がりな少年に落ち着く場所を与えてくれる世界のような存在だった。 ”
陸信「赤ちゃんが産まれるよ!」
自称「精神年齢100歳」の少年林静恒は複雑な気持ちだった。生まれてくる子供が陸信の愛情と関心を奪ってしまうのではないかと恐れていたのだ。
林静恒「なぜ二人とも体外受精を選ばなかったんですか?自分で子供を産むのは健康に良くないし、彼女の仕事にも支障をきたしませんか?」
陸信「・・・坊や。パパが 『お母さんが赤ちゃんを産むよ』って言ったら、『本当?弟?妹?いつ一緒に遊んでくれるの?』って嬉しそうに聞いてあげなよ。大人の事情は気にしないでさ。」
林静恒は寝室のドアのアクセス権を変更しなかった。思春期の少年の部屋に、陸信とミュラーは依然として入ることができたのだった。
その夜、眠れずにいた林静恒少年のシングルベットに陸信は力ずくで押し入り、半分を占領した。
陸信「将来、俺たちはおまえより先に亡くなる。静妹は遠く離れていて、おまえには身寄りがない。だからせめて親戚がいればと思う。その子は君と一緒に成長し、君のことをよく理解し、俺たちがいなくなった後も君を守ってくれるだろう。」
陸信「普通、下の子はあまり成果を上げないものだ。上の子に成功を、下の子にはみんなに幸せをもたらす責任を負わせる。どうだ?肩の荷が半分下りて、ずいぶん楽になったような気がしないか?」
この時代、エデンでは多くの人が人工子宮を用いて体外受精を選択する。
エデンによって人々は望む限りの快楽を享受できたので、人間の自然なホルモン変化は無意味なものに思われた。長い寿命と若さを保つ新時代、衝動的に結婚というゲームに興じるカップルはあっても必然的に別れる。結婚率はどこでも低下していたが、首都星だけは結婚が一種の同盟とみなされていたため、異常に高い率となっている。結婚自体が冗談のようなものなのに、政治家たちは常に『家族重視』を強調し、『生涯のパートナー』について語るのだった。
鄭迪「必行、あなたのご両親は政略結婚ではなかった。もしあなたが首都星で育っていたら、どれほど幸せだっただろうか。」
ハーデン「私はローラに申し訳なく思います・・・」
林静恒「あなたは彼女に何も悪いことはしていない。ローラは俺たちを愛していない。それに体外受精では母親のホルモンバランスは変化しないため、生理的な意味での『母性愛』なんてものは存在しない」
林静恒は孤独な星のような、よそ者を寄せ付けないオーラを放ち、常に緊張感と重苦しさを漂わせ、全身まるで重金属の塊のようで、巨大な野心を内に秘め、権力の苦境の中でうねり揺れ動いている、といった首都星タイプの人間であると連盟内で長年の『評判』を誇っていた。
ナグス「彼は・・ただ短気なだけなんだ。陸信将軍に幼い頃から甘やかされて育てられたもんで。白銀要塞では、彼が最終決定権を持っていたのだし。時々・・うーん・・・」
陸必行は言葉を失った。「彼は家庭内暴力を振るったりしません。枕の下に脱ぎ捨てた靴下を見つけても、僕を撃ったりしません。湛盧のカメレオンはいつも理由なく彼の上を這い回っているけど、今も元気に生きてる!」
陸必行はずっと灰色の目をした女の子が欲しいと思っていた。
林静恒はずっと自分は孤独に、果てない宇宙に埋もれる運命にあると思っていた。
家族でクラシック音楽のコンサートを聴くことになるなんて、一体誰が想像しただろうか?
人類の未来はどこへ向かうのか? ― 終 ―