アニメ魔道祖師
用語・補足説明

【魔道祖師】
完結編<第六話>因縁の遡源(さくげん)
剪紙化身(せんしけしん)の術

この術は便利ではあるが、厳格な時間制限があり、形代は必ず無傷で術者の本体に戻る必要がある。もし破られたり破損すると、中の魂魄も同じだけの損傷を負う。
芳菲殿(ほうひでん)・・蘭陵金氏歴代宗主の寝殿。
聶懐桑「二の兄君、三の兄君、私はどうしたらいい?お願いですからもう一度だけ助けてくれませんか?約束しますから、今度こそ最後ですから!」

金光瑤は今藍曦臣と聶懐桑の二人といるため、芳菲殿の中を調べるのにうってつけだ。怪しいところを探っていると、卓の上にある文鎮が目に入った。その下には一通の手紙が押さえつけられている。既に開封されていたが、封筒には差出人の名前もどこかの家紋も捺されていない。
【金光瑤が戻る】
秦愫「ある人に会ってきたのよ。その人はいくつかのことを教えてくれて、そしてこの手紙までくれた」
金光瑤「誰に会ってきたの?その相手の言ったことを信じるのかい?」
秦愫「あの人は私を騙したりしない。絶対に」
阿松(アーソン)・・金光瑤と秦愫の死んでしまった息子の名前
【密室へ】
金光瑤が銅鏡をすり抜けて行くと、魏無羨も飛び込んだ。銅鏡の向こうは密室になっていた。どの仙門世家にも宝を隠す密室はあるもので、取り立てて珍しいことではない。
金光瑤「秦愫、怖がらなくていい。今の君の状態では外を出歩かない方がいいと思ってね。しばらく休んでいるといい。例の人が誰なのか教えてくれるなら頷いて。経穴をすべて封じたわけじゃないから、頷くことくらいはできるはずだ」
魏無羨は棚の一画が上部から垂らされた簾(すだれ)で隠されていることに気付く。その簾には真っ赤な色のおぞましい呪文が書かれている。極めて強力な封印紋の一種だ。
金光瑤が突然何かに気付き警戒するように振り向いた。魏無羨は書物の間に体を滑り込ませる。すると目に入って来た文字に見覚えがあることに気付いた。
魏無羨「(俺の字じゃないか!)」
この書物は彼自身が前世であちこちから収集し整理した資料をもとに、自らの推論を加えて手書きした禁術・・「献舎」に関する文章だ。
莫玄羽がいったいどこで禁術を学んだのかと思ったが、どうやらその答えを見つけたらしい。
別の頁の中に滑り込むと、そこに挟まれている紙は『家屋重書(かおくじゅうしょ)(不動産取引で必要な情報が記載された書面)』と『沽券状(こけんじょう)(家屋の売渡しを証する書面)』のようだ。
財産とはいえただの権利書に、夷陵老祖の手稿と一緒に保管するほどの価値があるのだろうか? その場所は雲夢にある雲萍(うんへい)城、あの町中の観音廟だった。
聶明玦の首はやはり金光瑤が持っていた。
この首が何一つ見ることも聞くことも話すこともできないように、隙間なくびっしりと呪文で封じたらしい。
あまりにも強力な死者の怨念は周りの人々へ影響を及ぼし、怒りを伝染させる。多くの祟りはそうして引き起こされるのだが、共情の原理もこれと同じだ。今の魏無羨は肉体という魂魄の防御壁がないため、影響を受けてしまった。聶明玦の追憶へと。
過去 射日の征戦中期

温氏討伐に向けて魏無羨の正道を逸したやり方を皆が擁護する中、藍忘機だけは「残忍すぎる」「自分を見失いかねない」「そんなやり方では身も心も傷つける」等々、魏無羨を厳しく非難し、忠告し、直接手を出して止めることもあった。
実際の二人の関係は他人が噂するほど相容れない間柄ではなかったものの、お互い温氏との戦いに気が立っていたせいで、いつも喧嘩別れしてばかりいた。
さらに過去へ
【孟瑶(金光瑤)の生い立ち】
孟瑶の母親はある妓楼で花柳の才女と呼ばれる有名人で、教養もあってあらゆる面で名家の娘より優れていたという。雲夢に立ち寄った当時の宗主金光善は彼女に惚れ込み、何日間か滞在し、約束の証の品を一つ残して立ち去った。彼は数えきれないほどしてきた浮気と同様、彼女のことを頭の片隅にも留めていなかった。
金鱗台に一度は迎え入れた莫玄羽と違い、妓女(ぎじょ)の子であった孟瑶は幸運に恵まれることはなかった。
妓女・・遊女
母親はたった一人、金光善の息子を産むと学びを与えて導き、いつか金氏宗主が息子を迎え入れてくれる日をひたすら待ち続け、そのまま死に至る。彼女は息を引き取る前に金光善が残した品を息子に渡して金鱗台へ送り出した。
しかしその品は特に珍しいものでもなく、金光善のいつものやり方で、珍しい品だと偽って女性に不変の愛を誓ったものであった。
孟瑶が訪れた日はちょうど金子軒の誕生日であり、その品を目にした金夫人が顔色を変えたのを見た金光善が慌てて追い返せと命じた。

孟瑶は金鱗台から蹴飛ばされ、最上段から下の段まで転がり落ちた。彼は何も言わずその場を立ち去り、その後清河聶氏の門弟となる。
<河間(かかん)>
清河聶氏宗主聶明玦は当時河間に駐屯していた。聶明玦は孟瑶を側近とし、補佐に任命した。孟瑶は滅多にないほど機敏で優秀な人材であった。しかし「蘭陵金氏に自分の居場所を得て、父親に認めて欲しい」という孟瑶の願いに、聶明玦は推薦状を渡して金光善の元へと送り出す。
<琅邪(ろうや)宿営地>
聶明玦が孟瑶の事を尋ねても金光善に「知らない」ととぼけられ、これほどまでに頑なにしらを切るのにはきっと何か裏がある、と感じ、心当たりを探しているうちにある小さな森へと入って行く。そこで金氏の者を温氏の剣で、さらに温氏の剣術で殺していた孟瑶を見つける。
孟瑶は蘭陵金氏の傘下に入ったのち、上官から屈辱を受け、殴ったり罵られたり、さらに手柄を全て横取りされた事、母親を屈辱された事から頭に血が上ったのだとまくしたてる。しかし聶明玦は孟瑶の上役を殺した時の表情、選んだ場所(つい先ほどまで温氏と殺し合いが行われていた)、剣と剣術から温氏の奇襲に見せかけたものだと見抜いていた。
聶明玦「事実だとしても、殺していいものか!少しの手柄くらいで!些細な虚栄がそれほど欲しいのか!?」
孟瑶「少しの手柄?その手柄のために、私がどれほど心血を注いだと、どれほど辛い目にあってきたと思いますか? 虚栄?その虚栄がなければ、私にはもう何もないんです!」
聶明玦「お前は蘭陵金氏に自訴しろ。然るべき処罰を受けるんだ」
孟瑶「私に死ねとおっしゃるんですか? 父は私をまだ見てはくれません」
金光善は彼を見ていないわけではなく、ただ存在に知らないふりをしているだけだ。
孟瑶は剣先を自分の腹部に刺し込む。が、入念に計算し急所は避けていた。駆け寄ってきた聶明玦を罠にかけ、自分の傷口を押さえつけるだけで応急処置を終えるとそのまま走り去り、それから数年間消息は途絶えた。
弦正23年 不夜天城 炎陽殿(えんようでん)
聶明玦は射日の征戦ではほぼ無敵であったが、陽泉(ようせん)にてある情報から温氏に奇襲をかけた時のみ想定外の事態が起き、よりによって岐山温氏宗主温若寒と正面からぶつかった。戦力を見誤っていた聶明玦は、捕虜として捉えられ不夜天城に連れていかれた。そこには炎陽烈焔(えんようれつえん)模様の温氏の衣を纏った孟瑶がいた。
【聶明玦の父親の死】
父親が清河聶氏の宗主だった頃、温若寒はある者から一本の宝刀を献上された。温若寒は上機嫌だったが、客卿の一人が「その刀は比類なく素晴らしいものですが、おそらく清河聶氏の宗主はそう思わないでしょうね。聶氏は代々刀を使うことで有名で、彼は自分の宝刀は天下無敵で世に二つとないと豪語してますから、その刀のことは認めないでしょう」
温若寒は「ならばその刀を見てみよう」と聶宗主を呼び出し、彼の刀を手に取って鑑賞し、「ふむ、いい刀だな」と数回叩いて返した。先代聶宗主は身勝手に呼び出されたことは気に食わなかったが、取り立てて気がかりはなかった。
数日後、先代聶宗主が夜狩の最中妖獣に切りかかった瞬間、彼の刀は突然数か所から折れたため妖獣により重症を負い、体調を崩したままこの世を去った。聶明玦はその場面を目の当たりにしている。

【温若寒没 温氏敗戦後】
聶明玦は孟瑶に対し怒りに燃え、声を荒げながら斬りかかる。藍曦臣により、琅邪での行いを後悔した孟瑶はこれまで温家に間者(スパイ)として入り込んでいたことを知る。聶明玦が不夜天で牢屋に入れられた時、助け出したのも孟瑶だった。
孟瑶は不夜天城で何年もの間潜伏し続けてきた死をも恐れない勇士として、一躍世間に名を馳せた。三人は契りを結び、孟瑶は父親に迎え入れられるという悲願を果たし金光瑤と名乗る。
