アニメ魔道祖師
用語・補足説明

【魔道祖師】
羨雲編<第五話>不退転の覚悟
現在 【魏無羨、江澄に捕まる】
魏無羨「温寧はとっくにただの死人だ。俺も一度は死んだ。これ以上何を望む?」
江澄「何を、だと?奴がたとえ一万回死んだとしても、俺のこの憎しみは消えない!」
江澄は犬を怖がる姿に魏無羨だと確信した。しかしそれは証拠にはならない。
献舎は奪舎と違い痕跡は何一つ残らない。
魏無羨が犬を怖がる事実を江澄は誰にも話したことがない。
「仙子だって?誰がつけた名前だよ」
金凌「子犬の時は小仙子って呼んでたけど」
魏無羨「いやいや、問題は大きいか小さいかじゃないだろ・・・その名前のつけ方は一体誰に教わったんだ!?」
答えを聞くまでもない、間違いなく彼の叔父だ。昔江澄は飼い犬に『茉莉(モーリー)』『妃妃(フェイフェイ)』『小愛(シャオアイ)』など、まるで遊女みたいな名前を付けていたのだから。
過去 幼少期 <雲夢>
魏無羨が夷陵で拾われ、蓮花塢に連れて来られて間もない日、江澄が数匹の子犬たちと走り回っているのを見て、幼い魏無羨はわーわー泣き始め、江楓眠に縋りついたまま降りようとしなかった。次の日江澄が飼っていた犬たちは他家へともらわれていった。

江澄の記憶の中では、江楓眠に抱き上げられた回数は5回もない。
怒った江澄の部屋から追い出された魏無羨は蓮花塢から逃げ出し、木の上へ。
江厭離に声をかけられても隠れて黙っていたが、「履物は大きすぎた?」という問いかけに思わず答えてしまう。実際は大きかったが、江楓眠が彼に買ってくれた初めての履物だったので、気が引けて大きいとは言えなかった。魏無羨は犬が怖いからと説得に応じなかったが、手が痺れて木から落ちて足を痛めてしまう。
江厭離「阿澄はあなたが帰ってこないから、心配して急いで私を起こしに来たのよ。」
江澄は江厭離に「誰かを呼んで一緒に探しに来て」と言われたけれど、居ても立ってもいられず、探しに出た江厭離を走って追いかけたものの、提灯を忘れたせいで途中で転び、穴の中に落ちてしまっていた。彼も頭を怪我していた。
江澄「ごめんなさい」
江澄は彼が魏無羨を追い出したことが江楓眠の耳に入ったら、父はきっとさらに自分を好きでなくなるはずだ、と心配していた。
江厭離は小声で医師を呼び起こし、二人の傷を手当てしてもらうと、「すみません」「ありがとうございます」を何度も繰り返していた。
二人がようやく打ち解けたのを見た江厭離は嬉しくなり、二人のために蓮根と骨つき肉の汁物を温めてあげた。魏無羨は初めて口にしたその汁物がとても美味しくて、その時の香りは彼の心に残ったまま、今もずっと消えずにある。
江厭離「阿羨、あなたの顔立ちは生まれつき朗らかな笑い顔なのよ。だからどんなにつらくて悲しいことがあっても落ち込まず、いつも楽しくいられるの。まるで思慮も分別もないような愚か者に聞こえちゃうけど、それはあなたのいいところよ。」

魏無羨「人には必ず言わないといけない照れくさい言葉が二つあるんだ。『ありがとう』と『ごめんなさい』だ」
申(さる)の刻・・15時から17時
過去 15年前射日の征戦後 <雲夢>

温情「魏公子、助けてください!!」
温情は岐山から一刻も休まず、一睡もせず、自分の足だけで雲夢まで駆けつけてきた。
そこにはかつての高慢さはない。
温情「私、わかっていたの、離れるべきじゃなかったのよ・・でも奴らは強引に私を他の地域に追いやって、戻った時には皆がいなくなってて!あの子を一人にしたら駄目だってわかっていたのに!」とむせび泣く。
射日の征戦後、温家の残党は一人残らず岐山の一角に追い立てられ、狭い場所で辛うじて生き長らえていた。
その一帯で夜狩をしていた金子勲は、偶然出くわした温家門弟たちに召陰旗を背負わせて、餌として使おうとした。しかし怯えきっていて役に立たず、つかえながら話す温寧と口論になった。金子勲はその者たちを思い切り殴りつけ、強引に『窮奇道』へ連行したという。魏無羨は温情と共に窮奇道へと向かう。
過去 <窮奇道>
窮奇道はある山の谷間を通っている古道。言い伝えでは、岐山温氏の開祖温卯がこの場所で八十一日の激戦の末窮奇獣を切り殺したという。
射日の征戦後は蘭陵金氏の手中に収まっていた。切り立った崖には温卯の生前の足跡が彫られていたため、その壁画を削って新しい絵を掘るという再建工事に着手している。そこで温家の捕虜たちが苦役を強いられていたのだった。

金子勲はかつて岐山温氏の家僕たちが使っていたものと同じ焼きごてを手に持っていた。焼き印の形は太陽紋から牡丹紋に変わっていた。
温寧は既に死んでいた。
魏無羨「誰がこいつを殺した?」
監督責任者「そいつが作業中に不注意で崖から転がり落ちて死んだんですよ。」
魏無羨「一人の人間がどうやって死んだかくらい、俺にわからないとでも思っているのか?」
魏無羨「温寧、誰がお前をこんなふうにした?そいつらにお前と同じ結末を迎えさせてやれ」
【温寧の凶暴性の理由】
魏無羨「温寧は生前、比較的気が弱かった。あらゆる感情を心の底に隠して、恨み、怒り、恐怖、焦り、苦痛なんかをあまりにも多く溜め込んでしまってたんだ。そのせいで死後、全てが爆発して表に出てきて、その威力は想像を絶するほどだった。」
過去 <夷陵 乱葬崗>
江澄は門弟を引き連れて夷陵へ向かう。
魏無羨は温氏を連れて乱葬崗へ入ると、数百体もの屍を召喚して麓を巡回させ、侵入者を阻んでいた。しかしそれらは江澄に対しては無関心で、門弟に対しては警告の咆哮(ほうこう)(吠える)を発した。江澄は一人で乱葬崗に登る。

温苑(ウェンユエン) 愛称 阿苑(アーユエン)
温情・温寧の従兄の子 を畑に植えている魏無羨
江澄「この屍の山で耕作する気か?収穫したものはちゃんと食べられるのか?」
魏無羨「人間って本当に腹が減ってどうにもならない時には、どんなものでも食べられるんだ」
江澄「まさかこんなろくでもない場所に本気で滞在する気か?」
魏無羨「俺は以前、ここに三か月住んでた」
魏無羨「窮奇道での件は、あの監督者たちが温寧を殺したから、温寧は凶屍になってあいつらを殺した。殺人の罪を己の命で償ったんだ。これで終わりだろ」
江澄「終わるはずがないだろ!温氏の残党は攻撃の的なんだ、温姓ってだけで極悪非道とされるんだよ!多くの奴らがお前と、お前の陰虎符を狙ってる。あいつらにこの機を掴まれたら、たとえお前に道理があったとしてもなかったことにされるんだ!」
江澄「魏無羨!お前はわかってるのか?こちら側に立てば、お前は豪傑だの逸材だの、梟雄(きょうゆう)(残忍で強い)だのと呼ばれる特別な存在だ。だがあいつらに異を唱えた途端、残虐非道、倫理道徳を顧みない邪道ってことにされる。お前だけが一人よがりに世俗を離れて自由気ままにいられるとでも!?」
江氏の家訓・・心の正義を守れ、『成せぬを試みてこそ、成せる』
魏無羨「どんなことがあっても彼らを見捨てられない。」
江澄「お前が頑としてこいつらを守ろうとすれば、俺がお前を守れない」
魏無羨「守らなくていい。捨ててくれ」
江澄「・・この温家の奴らのためだけに・・?おまえは英雄病でもあるのか?」
魏無羨「いっそのこと今のうちに繋がりを絶った方がいい。雲夢江氏に災いをもたらさないためにも」
三日後、雲夢江氏宗主江澄は魏無羨と決闘し、世間を驚かせる。交渉は決裂、魏無羨は凶屍温寧を操って江澄の片腕を折り、江澄は剣で魏無羨の腹を刺し貫いた。双方重症を負い、完全に袂(たもと)を分かった。
江澄「魏無羨は一門を離反し、多世家に公然と敵対したため、雲夢江氏はこの者を追放した。今後この者が何をしようと、雲夢江氏は一切関知しない!」
と世間に公言した。
魏無羨は決闘の直後、刺された腹部を意にも介さず、自ら腸を腹の中に押し戻し、ジャガイモを大きな袋で何袋も買って乱葬崗へ帰る。温情は彼の傷に包帯を巻き、こっぴどく叱った。なぜなら買ってくるように頼んだのはジャガイモではなく大根の種だったからだ。
温情「大根は育てやすく簡単には枯れないし、ジャガイモは手間がかかるから!」
魏無羨「大根は美味しくない!!」

