【天官賜福】に見る 真の愛し方
【 天官賜福 】
中国のwebファンタジー小説作品(墨香銅臭著)
神【謝燐】と鬼の王【花城】、そしてとりまく人々の深くて美しい、壮大な物語です。
花城の徹底した愛し方
花城は憎しみや恨みなどではなく、[ 愛 ]への執着で鬼となりました。
エネルギー的に負の念よりも愛の方が強いので、花城が誰よりも強いのには頷けます。
謝燐が人々に剣で突き刺された時に、花城はその人々を灰にして鬼となり、その後は謝燐と共に戦い、兵士を瞬殺します。
しかし謝燐が白衣禍世になるのをとどまると、一転して人間を守るようになります。
そんな花城の愛は
霊文 『彼(花城)はあなた(謝燐)が何を望んだとしても、何のためらいもなくそれを全て受け入れようとしていました。その中には死も含まれていました。』
風信 『普通の信徒ならこんなことまでしない。あいつは狂ってる』
慕情 『気持ち悪すぎる』
国師 『800年も追い続けていたなんて恐ろしい!』
謝憐 『(もし師匠が万神窟を見たら、花城から私を連れて逃げ出すだろうな・・)』
と常軌を逸したものではありますが・・
愛し方には心から尊敬します。
本来ならこうあるべきなんだろうなと思います。
関わって欲しくない事に首を突っ込む謝憐に対して
警告はする、けど止めない。
必要とされれば教える、危険な時には手を出す、
でもあくまで見守りの姿勢。
結果には共に責任を負う、なんです。
花城がやってしまえば(謝燐は力を封じられているので)
すべての情報を与えれば(花城驚異の情報収集能力)
簡単に事が解決するとしても
必要とされない限り、必要と判断しない限り、見守るだけです。
子育てもこうあるべきなんでしょうね。
親ならば子どもには間違った方向に進んで欲しくないし、傷ついて欲しくない。
ですが結局のところ、そんな子どもの姿を見るのが辛いんです。
子供のためとは言いつつ、結局はそんな自分のためなのです。
恐れるものなど何もない鬼王の言葉です。
花城も本当は謝燐が傷つく姿を見るのは、過去の経験からもトラウマであり、何より辛い事。それでも『あなたは好きなようにやって』と謝燐に伝えます。
ですがいくら背後で守ろうとしても
毒蛇に噛まれたり
厄命(刀)で傷つけてしまったり
毒のついた骸骨を触ってしまったり
不意打ちで謝燐が傷つくと、花城は自分を責め、とても辛そうです。
それでも謝燐を信じて、見守ります。
花城は心も強いです。
信頼している相手であることが前提ではあるかもしれませんが、
部下指導とかもこんな風に出来たら素晴らしいですよね!
飛翔を拒絶し鬼王になったのは、天才花城が謝燐の言葉や意思に沿い、 謝燐を守るために自ら選択した道でした。
花城が譲れないもの
そんな花城ですが、謝燐に対して唯一して欲しくないことがあります。
それは【自から自分の心身を傷つける事】
鎏金宴の件で、謝燐は郎千秋に真相を知って欲しくなかったのに
花城は謝燐の意に背きます。
それはきっと謝燐に[自己犠牲]で苦しんで欲しくなかったし、
『善意は必ず善意で報われる』だなんて
世の中そんな綺麗ごとばかりではない。
人は皆乗り越えて成長していくもの。
それを郎千秋にもわからせるべきだと思ったのではないでしょうか。
謝燐は神になる前、『善意は悪い結果に繋がらない』と信じていましたが、その後そうではなかったと思い知らされています。ですが、そんな思いは郎千秋にはさせたくなかったと言っています。
謝燐には自己犠牲を厭わないという『悪い癖』があります。
第三の道にはつきものなのですが・・
これは自分の感覚や感情を殺している事になります。
『万人』の中には自分も含めなくてはならないはずです。
花城の表情や言動、そして花城自身の[自己犠牲]行為から
謝燐も少しずつ気付き、そして罪悪感を覚えます。
[自己犠牲]は美しい行為にもとられますが、
自己とはいっても自分だけで完結はしません。
それを見て知って、傷つく人、悲しむ人、苦しむ人が必ずいるのです。
正義とは?悪とは?
懸念していた、神が鬼を消す最後 はありませんでした。
謝燐も花城も、神でも鬼でも人でも、偏見はもっていません。
神も善100%ではなく、鬼も悪100%ではありません。
表立って見えるものが全てではなく、立場が違えば正義も悪も変わってきます。
謝隣もある者にとっては憎むべき悪人なのです。
誰でも間違いはあり、失敗もする。完璧な者など存在しません。
『過ちを犯したら罰を与えるべき』ではありますが、肝心なのはその後どう生きていくかであり、人でも神でも鬼でも、高貴な身分でも卑しい身分でも、皆同じように尊い存在です。
ラスボスにも、謝隣のように手を差し伸べてくれる誰かがいたならば・・
とは思いますが
ラスボスの存在がなければ、謝隣と花城の苦しい過去がなければ、
謝隣と花城の素敵な関係は存在しませんでした。
裴宿『世の中には決着がつかない事ばかり』
謝燐『世の中の出来事とはなんと滑稽なんだろう・・』
この世の中には理不尽なことが溢れています。
だからこそ気付くことが出来ます。
混沌とした世界ではありますが、それらに焦点をあてるのではなく
美しい景色を心の中に持ち続けたいものです。
幸せはどこにでもある
どんなに自分軸で歩んでいても、時には自信をなくしたり、迷い、見失ったり。
絶対的な信頼を持って、寄り添える人がいたら、どれだけ増して素晴らしい人生になることか。
謝燐と花城が関わりの中、お互いの心を軽くしていく様が本当に尊いです。
ただ、気付きをくれるものは寄り添える人だけではないです。
景色、音楽、絵画などの芸術、文学、アニメ、芸能人、憧れの人等々私たちの周りにはたくさんあります。
私はこの小説に出会えて、本当に人生は素晴らしいと思えました。
この世にはなんて美しいものが溢れていることか。景色もより美しく見えます。
結局は自分自身がどこに焦点をあてるのか、だけです。
もっと早く出会えていたら、もっと有意義な人生だったかも
とは思いますが、私の場合今だからこそ心に響いたのかもしれません。
だから何度も小説を読み返し、心に焼き付けて、生まれ変わったらもっと早くに気付けますように、と願っています。
『終わらない宴はない』
幸せは永遠には続きませんし、むしろ幸せであればあるほど、失った時の悲しみが大きい場合もあります。
ですがそれを恐れることなく、たくさんの幸せを次々集めていけば良いのです。
天官賜福、百無禁忌(恐れるものなし)!
『天官賜福』にはストーリーの最初から最後まで、たくさんのメッセージが濃縮されて詰め込まれています。
謝燐・風信・慕情との関係性や、他の神々の過去や人間性などもとても丁寧に描かれていて・・中には発達障害では?と思われる神官もいたり。
またある神官の抑え込まれた想いにも胸が熱くなりましたし・・上げたらキリがないのでもうやめておきます。
読み手によって受けとるコトも様々かと思いますので、ぜひ多くの人に見てもらいたい作品です。ストーリー自体も本当に面白いですし、ラストに向けてド迫力な展開となっていて・・びっくりしました。映画になって欲しいですけど・・映画館で大泣きしちゃいますわ・・
ただ残念ながら、この物語は日本語吹替版アニメも日本語訳小説もまだ途中で、物語の半分にも至っていません・・
私が生きているうちに、続きを拝めることは出来るのだろうか・・
なので出来る限り応援しなきゃ、と『面の皮を厚くして』(←お気に入りの言葉)
コラボ店に行ったり、欲しい訳ではないけどグッズを買ったりしています。
推し活ってなんて尊いんだろう♡
私の身の回りに増えるグッズに、周りの人は「・・・」ですけどね~
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